温故知新? ポスティングシステムでメジャーリーグに挑戦する山本由伸が成功すれば、日本のアマチュア球界にも影響を与えそうだ。
「ドジャースのカーショーを思わせる変化球を投げる」
これはMLB公式サイトで紹介されていた一文だ。カーショーといえば、大きな放物線を描くカーブで対戦打者を翻弄してきた。山本はそれに“匹敵する”変化球を投げると伝えられていた。
「山本もカーブを投げます。山本はカーブの割合が多い、珍しいタイプです」(在阪メディア)
選手名鑑などで紹介されいる「球種別の割合」を見れば、山本はカーブが17%。山下舜平大も25%だが、こちらは持ち球の球種が少ない。スライダー、チェンジアップ、フォークなど多くの変化球を投げ分けるタイプのなかでは、山本はカーブを使う割合が多いほうだ。
「メジャーリーグでもカーブを多投するタイプが少なくなってきました」(米国人ライター)
近年、高校生投手に持ち球を質問すると、真っ先に挙げてくるのがスライダーだ。「カーブよりもスライダー」の時代で、「カーブが投げられる」と答えるアマチュア投手もいるが、その軌道は曲がり幅の大きい、縦のスライダーに近い。
失速しながら、大きな放物線を描く往年のカーブはプロ野球でもほとんど見られなくなった。
「単に曲がるだけのカーブならみんな投げられますが、『失速しながら』『大きな放物線を描く』レベルは難しいんです」(球界関係者)
巨人二軍監督の桑田真澄氏、工藤公康氏などがカーブを得意としていた。彼らは投手寿命も長かった。
「カーブとスライダー、習得するのにどちらが難しいかと聞けば、実はカーブなんです。昔は変化球の入門編みたいに扱われていましたが、実際にやってみると違います」(前出・同)
現代っ子の高校球児はプロ野球中継よりもメジャーリーグの衛星放送のほうを観る機会が多いという。山本が成功したら、“昭和の変化球”の有効性が見直され、再流行するかもしれない。
(飯山満/スポーツライター)