釈明して、むしろ疑惑が深まった。
現地時間5月23日、エンゼルス・大谷翔平が“珍客”の訪問を受けた。同日の対戦チームであるレッドソックスのアレックス・コーラ監督が、グラウンドでアップ中だった大谷のもとに近づき、何かを話し掛けた。
「試合前、対戦チームの選手同士が挨拶したり、談笑するのは珍しくありません。でも、指揮官が対戦チームの主軸バッターに話し掛けるのは珍しい」(現地記者)
同日の大谷は3番DHで出場し、4打数1安打。チームも勝利したが、コーラ監督が大谷に接近した光景は異例だった。
試合後、その件について質問されたコーラ監督は、
「タンパリング(事前交渉)ではないよ」
とジョークで返し、さらにこう説明したそうだ。
「2Aのリュウ(劉致榮)のためにサインボールをお願いしたんだ。大谷も快諾してくれて、サインボールを届けるって」
しかし、メジャーチームの指揮官がマイナー選手のために、わざわざ“お使い”をするだろうか? コーラ監督の説明で疑惑はむしろ深まったが、こんな見方もされているそうだ。
「大谷が今季終了後にフリーエージェントになることは今さらですが、焦点は目下、水面下で行われているはずの残留交渉に失敗したときに移っています。エンゼルスは慰留に失敗しても、シーズン途中での放出には応じないでしょう」(米国人ライター)
契約最終年の看板選手とシーズン中の残留交渉をするのは、よくある話。一般論として、交渉決裂となった場合、チームはその選手を放出して有望な若手選手を獲得するが、エンゼルスはそうならないと言う。
「エンゼルスのオーナー、アルトゥーロ・モレノ氏が『大谷を追い出した男』として歴史に名を残すことをものすごく嫌がっているんです。汚名を残して笑われるくらいなら、契約満了後の大谷に移籍され、戦力補充できなかったほうがまだマシだと……」(同前)
コーラ監督にサインのお使いを頼んだ(?)劉致榮だが、マイナーでは二刀流にチャレンジしている。「二刀流」が大谷の気を引いたのだと思われるが、コーラ監督は直接会話ができたことで、大谷の性格も分かったはずだ。
「コーラ監督は選手の獲得交渉に自ら参加することもありました。澤村拓一(現・ロッテ)とも契約交渉の途中で話をしています」(同前)
今オフ、コーラ監督は大谷を口説き落とすヒントを得たのだろうか。
(飯山満/スポーツライター)