iPhone「自分そっくりの合成音声作成」新機能に悪用を危惧する指摘

 米Appleは5月16日、年内中に提供を開始する予定の「iOS 17」に自分そっくりの声を作成して喋る新機能を搭載することを明らかにした。

 自分そっくりの声を作成できるのは「Personal Voice(パーソナルボイス)」という機能で、ALS(筋萎縮性側索硬化症)など将来的に声を失う可能性があるユーザーに向けて開発されたという。ランダムに表示されるテキストを読みながら15分の音声を録音するだけで、簡単に自分の声が登録できる。

 iPhoneやiPadのパーソナルボイスに登録すれば、電話やFaceTimeの通話中に打ち込んだテキストを自分の声そっくりに読み上げてくれるようになる。これまでも自分の声を再現する音声サービスはあったがどれも高価で、その点、パーソナルボイスは「iOS 17」に標準で搭載されているので無料で使うことができるのだ。

「誰でも気軽に使えるのは素晴らしいことですが、その一方でなりすまし電話詐欺に悪用されないか心配ではあります。日本ではまだ報告はそれほど多くありませんが、海外ではAI音声生成サービスを利用して特定の人物の声を作り上げ、親に電話して金銭を騙し取る、オレオレ詐欺のような被害が増えているのです」(ITライター)

 例えば知らぬ間に、もしくは脅迫などされて声が盗まれ、悪用されるケースも考えられなくはないということだ。「Appleは『AirTag』を発売する前にもストーカーが悪用する可能性が指摘され、まさにその通りのことになった前例があります。ローンチする前にしっかりとした悪用対策をしてもらいたいものです」(前出・ITライター)

 何やら他にも悪用されそうな例はありそうだ。

(小林洋三)

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