去る5月12日、年金収入に応じて75歳以上の公的医療保険料を引き上げる改正案が参院本会議で可決した。これにより2024年度から段階的に後期高齢者の負担が増額される見込みだ。
5月14日放送の「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日)では「現役世代は負担増 高齢者も生活苦の実態」と題して年金生活者に密着。年金収入が月に2万5000円ほどという80代の女性は、都営住宅で家賃をおさえながらも、貯蓄を切り崩して食費をねん出していると明かしていた。現役世代の不満の声も紹介したVTRを受けて、スタジオで議論が交わされたのだが、その中で政治評論家の田﨑史郎氏(72)は次のように持論を述べた。
「今、国民負担率、46.8パーセントが高いっていう認識ですよね。その国民負担率が何で成り立っているかというと、租税負担率と社会保険料なんです。租税負担率のほうはほとんど変わってないんですね、税金の部分は。社会保険料はドッと上がってきている。社会保険料が上がってきている要因は、厚生年金、年金保険料が上がってきている。あと健康保険料が上がってきている。あと、介護(保険料)なんですよ。で、年金部分はいずれ戻ってくるんです」
この最後の「年金は戻ってくる」という発言に反応したのがエッセイストでタレントの阿川佐和子(69)。年齢は田﨑氏の3つ下だが、懐疑的な表情を浮かべて「年金は戻ってくる?」と質問すると、田﨑氏は「戻ってくるっていうか…。たとえば僕は少なくとも戻ってきてますよね」と返答した。これに阿川は「田﨑さんはいいな。私たちは(戻って)こないよね」と述べたものの、田﨑氏は「ちゃんと働いていて、保険料を払っていれば、それは戻ってくるんですよ」と主張を曲げなかった。
「番組では阿川さんが受給年齢がだんだん上がってきていることに触れて、24歳のトラウデン直美を指して『彼女たちになったら80過ぎても年金もらえないかも』と語り、トラウデン直美もあまり年金には期待していない様子でした。しかし、『年金が戻ってくる』という表現は、視聴者の反発を招き、《田﨑さんはもらってるかもしれないけど年金は積立じゃないぞ》《年金負担増でそこまで政府の肩を持つか》《まさか賦課方式を知らないのか》といった批判が殺到。確かに現在の年金は賦課方式になっていて、その時々の現役世代が負担していて、厚生労働省のホームページでも『現役世代から年金受給世代への仕送りに近いイメージ』と説明しています。預けた年金が戻ってくるようなイメージを植えつけるのは、明らかにミスリードでしょう」(社会部記者)
高齢者が住みにくい社会になってきているのは確かなようだ。