肝心なことを聞きそびれ…NHK美人アナ「能登地方地震」中継で問われた「質問力」

 5月5日、石川県能登地方で発生した最大震度6強の地震で、現地にある須受八幡宮(すずはちまんぐう)の宮司への電話取材が物議を醸したNHKの中山果奈アナ。

 同局では地震直後から被害を伝える特別番組を放送し、中山アナが進行を務めた。放送中、現地の被害状況を聞くために中山アナは宮司と通話を開始。地震発生時の様子などを聞いた後、中山アナは、「大変な中、ありがとうございました」と電話を切ろうとした。その時、宮司が困惑気味に、「あの、神社のことは聞かないんですか。私はそれで電話があった(と思った)のですが」と語ったのだ。中山アナは慌てた様子で、「大変失礼しました。神社の様子はどうだったんですか」とあらためて質問したのだった。須受八幡宮では2つある鳥居の1つが倒壊し、狛犬が両方とも倒れるなどの被害が出ていただけに、肝心な部分を聞きそびれるところだった。

 これにはネット上で《女性アナの質問能力に唖然》《慌てて謝罪して神社のことを聞く女性アナ》などと批判が相次いだ。もっとも、《あまり長話はできないから気を遣ったのでは》《緊急事態で台本もないから仕方がない》と中山アナを擁護する声もあった。

 実は、中山アナよる災害時の放送はこれが初めてではない。21年3月に宮城県で震度5強の地震が発生した際にも速報を伝えている。この時は彼女の様子が少し慌てたように見えたことから「視聴者を不安にさせた」などと言われたものだった。

 ただ、冷静な判断で神対応を見せたこともある。

 21年7月、静岡・熱海などで記録的大雨が降った際、中山アナは生放送中に熱海市の男性に電話取材を行った。中山アナが、「安全なところにいらっしゃいますか」と聞くと、男性は「今現在は大丈夫ですが、できれば避難したほうがいいというお勧めもいただいています」と回答。すると中山アナは、

「でしたらすみません、避難してください。我々の放送はここで大丈夫ですので、避難なさってください。お忙しいところ、ありがとうございました」

 取材より避難を優先したのだ。ネット上では《プロフェッショナルな対応》などと絶賛された。

「中山アナは同局の『正午のニュース』『関東甲信ローカルニュース』など昼のニュース番組に数多く出演しています。22年6月に石川・能登地方で発生した震度6弱の地震のときは緊急地震速報の一報を、同年7月には奈良県で銃撃された安倍晋三元首相死去の一報を速報で伝えています。緊急ニュースへの対応も冷静で、視聴者からも安定感があると高い評価を得ていますね」(テレビ誌ライター)

 冷静に、正しく、且つわかりやすく伝えて当然とされるNHKの災害報道だけに、アナウンサーには高い「対応力」が要求されるのである。

(石田英明)

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