東京湾で大量発生!? 釣り師が山下公園で「サメ釣り」にハマる理由

「生きたアジを餌にして、ヒットするまで30分もかからなかったですね。その後も20分くらい格闘したのですが、大変だったのは水面まで手繰り寄せた後ですよ。持っていた網では小さすぎて頭しか入らない。同行した友人たちの手を借りて、尾をつかんでどうにか陸に上げたんです」

 関東近郊でよく釣りをするという男性Nさんが釣り上げたのが、写真のサメだ。サメといっても「ドチザメ」という種類で、千葉や静岡では網漁で混獲されることが珍しくない。しかし、N氏がこのドチザメを釣り上げたのは東京湾。しかも横浜の山下公園で陸釣りしたものだという。

「実は2年前にもここで132センチの大物を釣り上げています。サメが釣れるのは春か秋。昨年もサメを釣ろうと何度か山下公園に足を運んだのですが、まったくかかりませんでした。それが今年4月に来た時に海面をライトで照らしたら、サメがうじゃうじゃいたんですよ。こちらの光に反応したのか、いくつもの目が光ったので、『今年はイケる』と毎週のようにここに来ています」(Nさん)

 東京湾で2年ぶりに大量発生したということか。神奈川県内でも屈指のデートスポットと知られる山下公園で釣れるというのも驚きだが、いったいなぜNさんは「サメ釣り」にハマっているのか。

「最初はアジを釣ったついでに…という考えだったのですが、やはり釣り上げた時の達成感は何物にも代えられません。山下公園という場所柄もあって、すぐにギャラリーが集まってきて、アツい視線を浴びるのもうれしいですよ。え? 食べたことはあるかって? きちんと内臓を処理して煮つけにすると美味しいらしいですけど、自分は持ち帰るのが面倒なのでリリースしています。150センチ以上の超大物を釣り上げたいですね」(Nさん)

 都内のスーパーの鮮魚売り場でドチザメを見かけたことはないが、けっして食べられない魚ではないようだ。魚食普及活動などに取り組む「魚食普及推進センター」のホームページには、ごていねいに写真付きで「さばき方」が解説されていた。次回はNさんに「食レポ」をお願いしてみたい。

(福島シゲル)

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