御本尊だけではない。善光寺には多くの秘密が隠されている。
「お参りする際には参道にも注目したいところ。碁盤の目のように整えられた敷石は、江戸時代に大竹屋平兵衛という人物が寄進したもので、すべて数えると7777枚あると言われています。7が並び縁起がいいと話題になり、数える人が続出。実際に石畳を数えながら歩いても楽しいかもしれません」(昼間氏)
この仲見世通りを抜けると、目の前に大きな「山門」が見えてくる。
「山門に掲げられた看板『善光寺』の三文字に五羽の鳩が隠されているのです。このため『鳩の字の額』という通称があるのですが、さらに善の字は牛の顔にも見えると言われています。おそらく『牛に引かれて善光寺参り』に由来するのでしょう」(昼間氏)
谷川住職もこの「山門」を強く推す。
「参拝券を購入する際は、本堂内陣に加えて山門と経蔵が拝観できる共通券がおすすめです。あまり知られていませんが、山門の2階に上がると、長野市が一望できますし、内部には文殊菩薩騎獅像、四天王像などを間近で見ることができます。また、経蔵には仏教経典を網羅した『一切経』が収められ、重さ約5㌧と言われる巨大な輪蔵を時計回りに一周押し回すと、それらの経文をすべて読んだことになるというありがたいスポットです」
見どころは尽きない。
「ぜひ周囲にある博物館や史料館に足を運んでほしいですね。大本願宝物館に行けば、善光寺如来が聖徳太子と手紙のやり取りをした不思議でユニークなエピソードなど、今日の善光寺信仰が形成された数々の神秘伝説を知ることができる。日本忠霊殿(善光寺史料館)ではチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世が奉納した砂曼陀羅が展示されています」(上祐氏)
約5万9000平方メートルという広大な境内を歩き回り、要所をクリアしたとしても、それがすべてではない。
「長野県飯田市に元善光寺という寺があります。本田善光は最初ここに寺を作り、その後、現在の地に移したとされています。そのため『一度詣れよ元善光寺、善光寺だけでは片詣り』という言い伝えもあります」(昼間氏)
来るGWに向けて善光寺参りを計画するのも一興か。