「どうせやり直しでしょ?」ライダー俳優が撮影現場で漏らしたボヤキの意味

「14日から16日にかけての映画動員ランキングではいまだに4位をキープ。3月18日の公開から1カ月が経ってもトップ5に入っていることからも、実写のヒーローものとしては異例のロングランヒットと言っていいでしょう」

 映画ライターが太鼓判を押すのは庵野秀明監督作「シン・仮面ライダー」(東映)。1971年の「仮面ライダー」放送開始から50周年となる2021年に製作が発表され、2年かけて公開までこぎつけた。

 4月15日、同作の制作現場に密着したドキュメンタリー「ドキュメント『シン・仮面ライダー』~ヒーローアクション 挑戦の舞台裏~」がNHKの地上波でオンエアされた。現場では、庵野監督の強いこだわりもあってか、撮影がなかなか思うように進まない。カメラは庵野監督とアクション監督らその他のスタッフとの軋轢や葛藤を克明にとらえていく。

 そんな中、主役の本郷猛を演じた俳優・池松壮亮のボヤキが視聴者の関心を集めた。2021年11月、工場のようなロケーションでのアクションシーンの撮影。アクション監督の田渕景也氏がアクションの流れを説明していると、庵野監督は「広いところで撮っても、結局、いつもの画になっちゃう」と言い残して、新たな撮影場所を探しに行ってしまう。その後の撮影では、仮面ライダーに扮した池松の拳が、スーツアクターの顔面を直撃するというアクシデントにも見舞われた。

 その後、庵野監督が予定になかった場所でのアクションを追加。池松はその場で新しい殺陣を覚えて急ごしらえの撮影に臨み、庵野監督から「OK」の声がかかったのだが…。池松は仮面を脱いで、みずからのアクションシーンをスマホで確認すると、「どうせやり直しでしょ?」と漏らして、不機嫌そうな顔で現場を後にした。このボヤキはネット上でも話題となり、キャプチャ画面とともに、《思ったよりキレてなかった》《ぜんぜん不貞腐れてないじゃん》といったコメントが多く寄せられていた。前出の映画ライターが語る。

「このドキュメンタリーは地上波に先駆けてBSプレミアムでオンエアされました。その際にも、『どうせやり直しでしょ?』というボヤキが話題になり、まるで池松さんが愚痴をこぼしたかのような感想も見られました。しかし、実際にそのシーンを見ると、愚痴ではなく、ふがいない自分の演技への評価のように聞こえました。番組のインタビューで池松さんは『5分で作って5分で撮ったカット』と説明し、庵野監督が出した『OK』についても、あれこれと思索していた模様。『肉体感』と『生っぽさ』を求めていたのではないかと語っています。いずれにしても真摯に撮影に取り組んでいた池松さんの俳優魂を肌で感じることができました」

 今回のドキュメンタリーが話題になったことで、2回目、3回目と劇場に足を運ぶリピーターが続出しそうだ。

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