過去のWBCでチームメイトを引っ張った存在として、イチロー(49)と重ねる声も相次いだが、WBC中継関係者は言う。
「優勝後、『日本だけじゃなくて韓国も台湾も中国も、その他の国もどんどん野球を大好きになってもらえるように、その一歩として優勝できたことがよかった。そうなることを願っている』と話しました。イチローが『向こう30年、日本にはちょっと手を出せないな、みたいな、そんな感じで勝ちたいなと思っています』とコメントして韓国と遺恨が生じたのとは大違い。大谷は1月の会見時から、韓国にはどの世代にも素晴らしい選手がいることを強調してリスペクト。韓国選手の『故意死球』予告発言も気にしなかった。その姿勢は韓国でも話題となり、大谷人気が高まりました」
ライバルへの敬意にブレはなかった。先のスポーツ紙デスクも語る。
「メキシコ戦前の囲み取材で、『イチローさんたちが築いてきたWBCをどう継承しようと考えていますか?』という質問が飛びました。すると『回数を重ねるごとに権威ある大会に近づいているんじゃないかと思いますし、自分たちの力でもっといい大会にできる』とした上で、それは日本のファンたちに野球の魅力をより広めるという意味合いかと尋ねられると『日本の‥‥ファンはもちろん、台湾だったり、韓国だったり、予選で今回は残念ながら負けてしまったと思うんですけど、僕らが優勝することによって、次は自分たちもと、そういう気持ちになるんじゃないかなと思います』と続けたんです。見据えるのは野球に国境はないグローバルさなんです」(スポーツ紙デスク)
ところで、忘れてならないのは大谷をチームに招聘した栗山英樹監督(61)との信頼関係である。
球界関係者によれば、
「栗山監督がいなければ二刀流が成就することもなかったですからね。12年オフ、メジャー志望の大谷を日本ハムが強硬指名した。GMやスカウト部長らと説得交渉について話し合う際、ピッチャーのみでの育成という向きが強かった中で『誰もどちらかの可能性を消してしまうことはできない』と二刀流を主張したのが栗山監督でした」
将来的なメジャー移籍の約束はもちろんのこと、その方針こそ大谷が入団に傾いたきっかけと言われる。そして二刀流としてメジャーに渡るまでの道のりでは、栗山監督が徹底的に大谷を管理した。
「外出するようであれば時間や相手の名前などの報告義務までありましたが、夢を実現させるために本人も理解していたこと。2人はそれをやり切ったんです。今年1月の会見で本人を前に『おそらく誰が監督でも出たい気持ちは変わることはなかった』とおどけていましたが、信頼関係があったからこその出場、大活躍だったと思います」(球界関係者)
3年後もまたタッグを組むだろうか。
(つづく)