世界をトリコにした「大谷翔平語録」15(3)愛読書にラインマーカーがびっしり

 大谷が言い放つ、金言フレーズは枚挙に暇がない。

「ピッチャーがゲームを作れる。バッターはゲームを決められる」

「無理だと思わないことが一番大事だと思います。無理だと思ったら終わりです」

「人生が夢を作るんじゃない。夢が人生を作るんだ」

 などなど、湯水のごとく語彙力も豊富に言葉があふれ出てくるのだ。さるパ・リーグ関係者が言う。

「そもそも日本ハム時代から読書家で、移動の飛行機の中で話題の本を読んでは気になった言葉にラインをびっしり引いていました。速読なのですが、後からも重要な箇所、言葉を拾っていたのでしょう。ハム入団時に栗山監督から渋沢栄一の『論語と算盤』を渡されたのは有名な話ですが、偉人伝や自己啓発本、肉体に関する専門書など己を磨くためには時間を惜しまなかったのです」

 大谷にとって「本を読む」とは、高校1年生時に花巻東の佐々木洋監督の指導で作成した目標達成シート「マンダラチャート」で「運」を得るための努力目標の1つの項目として書き記していたことである。

「彼は中心に据えた8つの目標全てを達成するため『ゴミ拾い』『審判さんへの態度』など忠実に実行してきた。目標にたどりつくには、それらをクリアしていくことが当たり前だと考えてきたんです」(パ・リーグ関係者)

 すべてを野球に捧げ、遂にはMLB新記録となる年収約87億8000万円を稼ぎ出す選手にまで上り詰めた。必然的に、言葉の重みも輝きも違うわけである。

「大谷の口から出る言葉はすべて本音でしょうね。それこそ24時間ずっと野球のことを考え、寝ても野球の夢を見ている。贅沢や色恋よりも野球。クリスマスイブにも1人でバッティング練習を行っていた求道者ですから、大谷の言葉だけは単なるその場の思いつきではないと信じられます」(パ・リーグ関係者)

 3月16日のイタリア戦で決めたセーフティーバントを大谷は振り返っている。

「あの場面で日本の勝利より優先する自分のプライドはなかった」

 唯一無二の存在だが、唯我独尊ではないのだ。

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