世界を制したWBC開催期間中、数々の「大谷語録」が話題となった。激闘が終わってもまだ余韻を残す名言の数々は、レギュラーシーズンを迎えた仲間たち、ひいてはファンにも今後の糧となることだろう。日本中に、いや世界中に響いた、スーパースターの金言フレーズをプレーバックしよう。
3月22日(日本時間、以下同)、第5回WBC決勝アメリカ戦を前に、侍ジャパンのメンバーは円陣を組んだ。声出しを務めた、大谷翔平(28)はこう檄を飛ばしたのである。
「僕から1個だけ。憧れるのはやめましょう。ファーストにゴールドシュミットがいたり、センターを見たらトラウトもいる。(中略)野球をやっていれば誰もが聞いた選手たちがいると思うが、(中略)憧れてしまったら超えられない。(中略)トップになるために来たので、今日1日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう。さあ行こう!」
ナインの士気は高まり、激闘を制したことは記憶に新しい。まさに大谷語録のハイライトと言えるシーンだったが、大会期間中、大谷が仲間たちを鼓舞する場面は他にも多く見られた。スポーツ紙デスクが言う。
「東京ラウンドで不振を極めた主砲・村上宗隆(23)には『本来の力を発揮すれば何てことないんだ』『よそ行きのプレーをする必要はないんだ』と勇気づける言葉をかけ続けた。そのフォローのおかげもあって、最後の打棒爆発に繋がったと思います。時に松井裕樹(27)がWBC使用球へのアジャストに苦戦していれば、ちょっかいを出したり、肩を揉んだりして、気晴らしをさせてあげてもいた」
こうしたチームのムードメーカーとしての素養、周囲を気遣う姿勢は、17年オフに海を渡って以降、より顕著になっていったという。
「ウインクをしたり、『いくぞ!』という意味でピストルポーズをしてみたりと表現も多彩。準決勝のメキシコ戦でビハインドの9回に二塁打を放ち、塁上で『カモン!』と3連呼したのも印象的でした。チームに遅れて合流した際も、自分のことを差し置いて『ヌートバー(25)をよろしくお願いします』と旧知の日本ハム時代と同じコーチ陣に話しかけていた。同時に、レジェンド視して近づけない若い選手たちにも自分から寄っていくなど、まさに侍ジャパンを一体化させるMVPでもあった」(スポーツ紙デスク)
〝世界の大谷〟にとってもWBCは、高校3年時に書いた「人生設計ノート」の中で4年ごとの出場を目指していた夢の舞台。前回大会で不本意な辞退も経験しただけに、MVP獲得の感慨はひとしおだったことだろう。大会を盛り上げるためならば、サービスをいとわなかった。
3月9日、中国との初戦を終えると観客に向かって、
「遅くまで残っていただき感謝している。ただ、まだまだ声援が足りないので、明日はもっと大きい声援をお願いします!」
12日のオーストラリア戦快勝後にも再びファンの歓声について聞かれ、
「まあまあでした(笑)。まだまだ気合い入れて。優勝目指して頑張ります!」
自身に妥協を許さないスーパースターは、ファンにも高いレベルの声援を求めた。
(づづく)