医師が教える「中高年スマホ脳」の特効薬(1)スマホ依存が認知異常を引き起こす

 闇バイトの求人に騙されて人生を棒に振るヤカラが続出すれば、回転寿司店で醤油や湯飲みを舐め回す“ペロペロ男”が出現。バカがスマホを使った結果か、それともスマホ依存が人間をバカにするのか。「スマホ脳」の実態を解き明かす。

 ITジャーナリストの井上トシユキ氏は言う。

「iPhoneが登場したのは07年。小さなディスプレイを介していろんな世界が見られたり、情報発信できることから、人気アニメの〝どこでもドア〟になぞらえたものです。しかし、スマホへの依存度が高まると、思考が短絡化しがち。物事を深く考えなくなるので、善悪の判断ができずに、すべて自分の都合のいい方に解釈してしまう。それこそスマホ脳、脳疲労の弊害でしょう」

 そもそも「スマホ脳」とは何か。昨年9月に「スマホ脳の処方箋」(あさ出版)を上梓した脳神経外科医でおくむらメモリークリニック理事長の奥村歩氏が語る。

「20年前から『もの忘れ外来』で10万人以上の患者さんを診てきましたが、以前は65歳以上が9割以上。ところが、この10年で働き盛りの40代、50代の方もよく診察に来られるようになって、今では全体のおよそ5割を占めるまでになりました。中高年患者の増加について考えてみると、これがスマホの普及率の伸びと符合したんです」

 奥村医師はスマホが脳に及ぼす影響を調査し、17年に「その『もの忘れ』はスマホ認知症だった」(青春出版社)を発表。60万部超えのベストセラー「スマホ脳」(アンデシュ・ハンセン著/新潮新書)が発売される3年前のことだ。

「まだ時代が早すぎたんでしょうね。それほど話題になりませんでしたが(笑)、今回の『スマホ脳の処方箋』は、具体的な対策法を示していることもあって反響は大きく、おかげさまで10本以上のテレビ番組に出演させていただきました」

 奥村医師の著書では様々な症例が紹介されている。頭痛、腕や足の関節の痛み、倦怠感、めまい、もの忘れ、さらには認知機能の異常(スマホ認知症)‥‥。それら心身の不調は脳過労が引き起こしたものだった。

 無自覚なスマホ依存の弊害について、奥村医師が指摘する。

「何の目的もなく、ネットサーフィンをする『だらだらスマホ』は、とてつもない巨大な情報量を頭に入れるということ。いわば脳の暴飲暴食ですよ。ずっと寝転んでポテトチップスを食べ続けているようなもの。日本が世界1位の長寿国となったのは、食習慣によるところが大きい。胃に入れる食べ物には気を遣っているのに、脳の摂取物にはいっさい無関心というのが日本のスマホ社会の現状。まずはここから意識改革してほしいですね」

 スマホが発信する膨大な情報量。それを無自覚に吸収し続けることで、脳がオーバーワークに陥ってしまうのだ。

*週刊アサヒ芸能2月16日号掲載

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