法務大臣の諮問機関である法制審議会において、戸籍法の改正により名前の読み仮名に一定の制限を設ける方針であることが明らかとなり、いわゆる「キラキラネーム」が認められないケースも出てくる可能性が高まった。果たして、許される場合と許されない場合の線引きはどこになるのだろうか?
「現行法では戸籍に読み仮名は必要ありませんでしたが、行政のデジタル化を進める中で記載した方が作業の効率化が図れるとして、これまでもルールについて議論されてきました。2月2日にまとめられた要綱案では、氏名の読み仮名は『一般に認められているものでなければならない』とのルールが定められたのです」(社会部記者)
「一般に認められているもの」の具体的な内容は今後詰められるというが、現段階では反社会的なものや差別的なもの、淫らなものは認めない方針。他にも「高」と書いて「ひくし」と読ませるなど漢字の意味と反対になるものや、「太郎」と書いて「まいける」と読ませるなど漢字から意味や読み方が連想できないもの、「太郎」と書いて「じろう」とするなど混乱を招くようなものも認められなくなる可能性がある。
また、「騎士」と書いて「ないと」と読ませる場合は漢字の意味と外国語の意味が関連付けられることから認められる可能性が高いというが、「光宙」と書いて「ぴかちゅう」などは「人の名前としては違和感のあるキャラクターの名前」に当てはまり、今後はNGになるかもしれない。
「伝統的ではない当て字を使ったり、キャラクターや外国の名前などを用いるキラキラネームは2000年代に入ってから急増しました。19年にベビー用品「ミキハウス」の三起商行が実施した調査によると、日常生活の中でキラキラネームに遭遇したことがある人が約7割にのぼり、一般に浸透していることが分かります。しかし一方で、日本では年間4000人以上の人が名前を変え、親が付けたキラキラネームを自分の意思で変える人も増えているといいます。19年には18歳になったのを機に『王子様』という名前から『肇』に改名した男性も話題となりました」(フリージャーナリスト)
キラキラネームを付けることで子供が偏見に晒されるケースも多く、今回の動きが生涯にわたって使う名前をしっかり考えるきっかけになることを期待したい。
(小林洋三)