NHK新会長が「受信料拒否の割増金」に言及「一律請求しない」ってどういうこと?

 1月25日、NHKの新会長となった稲葉延雄氏が就任会見で、4月から導入する受信料の割増金制度について「一律に請求するわけではない」との見解を示した。しかし、これにネット上では戸惑う声が続出している。

 割増金制度は、テレビなどの受信機を設置した月の翌々月までに受信契約の申し込みが行われなかったり、解約または受信料免除の申請に虚偽があった場合など、正当な理由なく受信料が支払われなければ、通常の受信料の2倍となる割増金を請求することが可能になるというもの。1月18日に総務省が「日本放送協会放送受信規約」の変更を認可し、4月1日から導入されることが決まっている。

しかし、稲葉会長は会見で、この割増金制度について受信料の公平性を確保するという見地から導入されたものと説明。制度導入後もNHKの活動や受信料を納得してもらい支払ってもらうのが大前提とし、「一律に条件に該当するからといって請求するわけではなく、お客様の個別の事情を総合勘案しながら」割増金の請求を検討していくことを明らかにした。

「客個別事情とは言いますが、その『事情』がどういうものであれば請求されないのか、具体的に示してもらいたいものです。例えば生活の困窮で支払いが滞っている場合は請求しないというのであれば、生活が苦しくてもすでに受信料を支払っている人はどうするのか。就任会見と同日にはNHKが『2022年度 第3四半期業務報告』を公表し、受信契約が21.7万件減少したことが明らかとなっています。チューナーレステレビへの乗り換え組もいるでしょうが、中には正当な理由なく解約したケースも少なくないと思われます。こうした解約を防ぐための割増金制度だとは思いますが、一律ではないと言われればさらに解約する人が増えてしまうのではないでしょうか」(フリージャーナリスト)

 結局、割増金制度は形だけの脅しなのだろうか。

(小林洋三)

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