東日本、中日本、西日本の各高速道路会社が、高速道路の深夜割引を2024年度中に見直すことが明らかになった。0時近くになると料金所付近でトラックによる大渋滞が起こる「0時待ち」を解消するため、設定時間内の走行分に限って割引を適用する方針というが、これに批判の声が殺到している。
ETCを利用して走行する車の「高速深夜割」は、2014年に開始された。高速道路の利用を促すことで、並行する一般道の騒音問題などを改善する目的だった。しかし、午前0時から4時の間に少しでも高速道路を利用していれば、他の時間帯を含めた走行でも「3割引」が適用されるため、一部の料金所では午前0時を過ぎた瞬間に高速を出ようとするトラックで大渋滞が起こるようになってしまい、大きな問題となっていたのだった。
これを改善するため深夜割引の内容を見直し、午後10時〜午前5時に対象時間帯を広げ、この時間に走行した分に限って割引を適用するという。割引率は3割のままで、走行距離が400キロを超えて走行する場合は最大5割引になるという。ところが、この改正が改悪だとする声が多いのだ。
「積み荷によっては届ける時間帯が決まっているものもあるため、対象時間を広げたとはいえ、それ以外の時間帯を走る場合は割引が適用されなくなることから、運送会社やドライバーにとっては実質値上がりになるケースも出てきます。また、割引を適用するために午後10時〜午前5時の深夜帯を走行するトラックが増えればドライバーの負担は大きくなり、居眠り運転などの事故が増える懸念もあります」(交通ジャーナリスト)
そもそも、高速道路は建設時の借入金が返済されれば無料化される予定だった。しかし、国土交通省は、全国の高速道路をこれまでの2065年から60年延長して2115年まで有料にできるように関連法案を改正する方針であることがこの1月に明らかになった。これにより、高速道路の無料化は事実上なくなったとする声もある。
「現在は燃料費が高騰しており、深夜割引の見直しによって物流業界にさらなる負担がのしかかることもありえます。高速の無料化を実施しないのであれば、せめてトラックが高速を利用する場合は常時3割引になるようにしてもらいたいものです」(前出・交通ジャーナリスト)
「0時待ち」の次は「10〜5時問題」が、今から懸念されるのである。
(小林洋三)