「FIRE」をやめて働き始める人が急増中! 理由はなんと…

 欧米の富裕層から流行が始まった「FIRE」と呼ばれるリタイア生活。「Financial Independence, Retire Early」つまり早期退職して手持ちのお金を運用しながら生活するライフスタイルで、日本でも地方や海外に移住して悠々自適の暮らしを始める30〜50代が多いが、その一方で再び働き始める「脱FIRE組」も増えている。
 
 都内の外資系企業で働くYさん(51歳・男性)は、株で増やした資産を元手にアパートを購入。家賃収入だけで生活できる状態を作り、19年に沖縄に移住してリタイア生活を開始。ところが、わずか1年半で社会復帰している。「資産がなくなったわけではない」と語るが、いったい何が理由だったのか?

「のんびりした生活が居心地よかったのは最初のうちだけ。インドア派なのでコロナ禍の巣ごもり生活も問題ないと思いましたが退屈すぎて苦痛になり、それで再び働き始めたんです。仕事はリモートなので在宅のままですが生活にメリハリがあるし、今のほうが自分には合ってるかなって」(Yさん)

 また、18年に上場企業を早期退社し、タイに移住してリタイア生活を始めたKさん(48歳・男性)はわずか数ヶ月で帰国。生活できるだけの蓄えと不労所得はあったが、「飽きちゃったから」と早々に社会復帰を決めた。

「欲しかったのはリタイア生活ではなく長期休暇だと感じたからです。ただ、お金が目当てではないので、今は工場の契約社員で月20万円弱の給料を貰いながらユルく働いてます。管理職だった前の会社と違って仕事のプレッシャーはなく、それでも働いている充実感は得られるので満足しています」(Kさん)

 彼らのような“FIREを終了する人”が増えている大きな要因のひとつは、リタイア生活の理想と現実のギャップにあるという。

「FIREをモチベーションにして頑張って働き、資産形成を目標にするのは悪いことではありません。しかし、これを始めることがゴールになってしまい、そこからの目標を設定できていない人が多いんです。そのため、実際リタイア生活に突入すると無気力状態に陥ったり、退屈だと感じるようになるのです」(キャリアコンサルタント)

 とはいえ、庶民にとってはFIREなんて夢のまた夢。そんな贅沢な悩みを持てる身分になりたいものだ。

マネー