最近、雑誌やネットニュースなどでよく目にするようになったFIREという言葉。これは《Financial Independence Retire Early》の略で、和訳すると「経済的な自立を実現させ、仕事を早期に退職する生活スタイル」となる。要は早期リタイアというわけだ。
誰もが一度は憧れるかもしれないが、これを実践するには相応の資産が必要。仕事を辞める年齢によっても異なるが、「一般的な目安として1年間にかかる生活費の25倍以上の資産が必要」と話すのは、リタイア生活事情に詳しいファイナンシャルプランナー。
物価の安い田舎であれば出費はかなり抑えられるとはいえ、妻子がいれば低く見積もっても年間300万円はかかる。その場合、FIREを始めるには7500万円以上が必要だ。
「仮に年間の生活費の25倍の資金を資産運用に回し、配当金などで年間4%の収入を維持できれば、理論上は資金を目減りさせることなく生活できます。もちろん、絶対とは言いませんがこのくらいの運用益ならリスクをそれほど冒さなくとも確保することは十分可能ですし、そうやってリタイア暮らしを行っている方は大勢います。また、移住先でも何かしらの形で仕事を続けるセミFIREならどの程度の稼ぎかにもよりますが、半分以下の資金でも始められます」(同)
3年前にコンピューター関連会社を辞めて北海道に移住した男性(48歳)は、会社員時代の貯金や父親の遺産で貯めた4500万円を元手にセミFIRE生活を実践中。現在はウェブデザインの在宅ワークを1日2~3時間こなして月6~7万円の収入を得ているとか。
「独り身なので生活費は年200万円もかかっていません。だから、在宅ワークの収入と資産運用の儲けでお金はほとんど減らさずに生活できています。移住後は素人趣味ですが農業を始め、釣りやキャンプなどのアウトドアライフを満喫しています。終わりのない夏休みって感じで毎日が楽しいですよ(笑)」
先立つものがなければ難しそうだが、こんな生活をいつか送ってみたいものだ。
(トシタカマサ)