加藤匠馬捕手が古巣・中日に復帰——。12月26日午後3時過ぎ、中日、千葉ロッテ両球団から加藤の無償トレードが発表された。
加藤は2021年シーズン途中、中日から「交換トレード」で千葉ロッテに移籍。しかし、今季はルーキー・松川虎生の台頭もあり、出場試合数は24試合と激減していた。
「立浪和義監督は17日、地元TV局に出演して阿部、京田といった主力を放出した経緯について答えていました。司会者に『補強はこれで終了?』と聞かれ、『いや、キャッチャーが欲しい』と話していましたね」(地元記者)
京田らの放出にいまだ否定的な意見もあるそうだが、「捕手の補強予告」には反論や驚きなどはなかったそうだ。
「捕手の人数はリーグ最少でしたからね」(前出・地元記者)
今季、120試合に出場した木下拓哉は健在だが、立浪監督は山下斐紹、桂依央利に戦力外を通達。ドラフト4位で捕手を指名しているが、まだ高校生である。アリエル・マルティネスも退団し、石橋康太が右ヒジと左ヒザにメスを入れてしまったため、来季開幕戦に間に合うかどうかは微妙で、捕手は実質4人しかいない状況に陥っていた。
地元ファンも捕手の頭数が足りないことを分かっていたのだろう、“3件目のトレード”は「やむを得ない」と捉えていたようだ。だが、加藤のロッテ球団を介して発表されたコメントは意味深だった。
「突然のことで、驚いています…」
立浪監督の「キャッチャーが欲しい」発言がオンエアされたのは17日、生放送だった。トレードは他球団、マスコミに勘づかれた時点でご破産になるのが球界の慣例であり、立浪監督も分かっていたはず。具体的な名前こそ明かさなかったが、ここまで話すということは、この時点でトレード交渉は成立していたと見るべきだろう。
「25日の夕方から、加藤帰還の情報が入ってきました。先週末に交渉がまとまり、週末なので26日になるのを待って発表したのだと思います」(ベテラン記者)
加藤は「バズーカ」と言われるほどの強肩だ。ウエスタン・リーグで阪神2軍が163の盗塁の最多記録を達成させた2018年、加藤は8連続阻止を決め、他球団からも一目を置かれるようになった。
好捕手の復帰は大きなプラスだが、立浪監督がまとめた3件のトレードは、ウラで色々なことが起きていたようだ。
(飯山満/スポーツライター)