日本の同人漫画がウクライナでベストセラーになっていた!

 以前から若者の間で日本のアニメや漫画が人気だったウクライナ。ロシアとの戦いの中でもその熱は冷めることなく、それどころか新たなベストセラーさえ生まれている。

 ちなみにその作品は、漫画家・松田重工氏による「キエフの幽霊」。しかも、日本の書店では未発売の同人コミックだ。

 ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始した2月下旬、1人のウクライナ人パイロットがロシア軍の戦闘機6機を撃墜したとの情報がSNSに投稿された。劣勢に立たされる戦争序盤のウクライナの希望の光としてネット上で情報が拡散されるが、このパイロットは実在しなかったことを後に同国空軍が認めている。

「キエフの幽霊」は、そんな戦場の都市伝説とリンクした内容になっており、作者が4月にツイッター上で作品を発表するとたちまち海外で大きな話題に。それがウクライナの出版社社長の目に留まり、出版をオファー。8日に配信された「朝日新聞デジタル」によると、作者と連絡を取るのを仲介したのは駐日ウクライナ大使だったと報じている。

 ちなみに現地での発売開始は8月。記事によると国内182軒の書店をはじめ、隣国ポーランドやドイツの一部書店でも販売されているという。
 
「現在進行中の戦争を描いた漫画のため、日本の出版社だと書籍化が難しいですがこれは同人作品。物語もウクライナ側から描かれ、漫画を通じて辛い思いをする人々を勇気づける内容になっています。そこが現地で高く評価されているようです」(エンタメ誌編集者)

 作者の松田氏はこれまで太平洋戦争などを舞台にした戦記モノの漫画を多数発表。ウクライナ戦争ではロシア軍の補給部隊に攻撃を仕掛ける工作員の戦場都市伝説をモチーフにした「ドネツクのドブ猫」という作品もある。

「作者の名前はウクライナ人の間で一気に知れ渡り、『キエフの幽霊』については現地で映像化を求める声も多いと聞いています」(同)

 そのうちハリウッドで映画化なんて話もあるかもしれない。

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