中国各地で起こったゼロコロナ政策への抗議活動の結果、中国当局は12月7日にゼロコロナ政策の緩和に踏み切った。まさに〝白紙革命〟が実った形だ。
「日本の内閣に当たる国務院は緩和に当たって10項目の指針を発表。それによるとロックダウンを緩和するのはもちろんのこと、個人の健康情報を追跡する健康コードは原則廃止。軽症者は自宅での療養が可能になり、代わりにワクチンの接種を進めるなどとしています」(全国紙記者)
これで、あまりにも強引なゼロコロナ政策が緩和されたのは結構なことではあるのだが、欧米メディアからは早くもこの冬に中国を襲うであろうパンデミックを予測、最悪で100万人が死亡するという観測が出ている。
「ゼロコロナ政策は人の移動を抑えて感染が広がるのを防ぐという防疫体制だったので、多くの人に免疫が備わっていません。中国の国家衛生健康委員会によれば、60歳以上では86%以上の人がワクチン接種を完了しているとのことですが、逆に言えば、まだ1度も打っていない人が約2500万人いるということにもなります。さらに中国が独自開発したシノファーム、シノバックのワクチンは生み出される免疫力が弱い不活性化ワクチンなので、何度も接種する必要があります。しかもこういった観測は国外からのみならず、中国の復旦大学の研究チームも5月の時点で、十分なワクチン接種がないまま緩和をしたら6カ月以内に150万人が死亡するというシミュレートを国際学術誌に発表しています」(同)
つまり、欧米各国を中心とした諸外国では、ワクチンの接種を重ねながら集団免疫を獲得するという戦いをしてきたのに対し、ゼロコロナで押し切ろうとしてきた中国はウイルスの脅威に対しマッパ同然というわけだ。
白紙抗議では「習近平辞めろ!」との声まであがり、緩和に踏み切ったが、今度はパンデミックで大混乱となればまた改めて「習近平辞めろ!」との声が上がりかねず、一旦は終息した「第2の天安門事件」の火種が今度は大火となって燃え上がるかもしれない。
(猫間滋)