齋藤孝インタビュー「上機嫌に生き抜く処方箋」(3)ハラスメントに気を付けて

 昭和の時代というのは、男が野放図に威張っている「ワイルド」が認められていた、セクハラもパワハラも言葉すらなかった時代です。そして今のオヤジたちは、女性を下に見ることに慣れてしまっている時代遅れな感覚をどこかに持っている。

 5月末には、職場でのハラスメントを禁じる「女性活躍・ハラスメント規制法」が参院本会議で可決、成立しました。性的ハラスメントやパワハラ、マタニティーハラスメントなどに関し、細かくその要件・事例が規定され、それらの言動を「行ってはならない」と法律に明記されています。セクハラ、パワハラを巡る環境は、いよいよもって厳しくなってきているのです。

 45歳を超えた中年以降の男性は、セクハラ、パワハラの加害者、または加害の容疑をかけられやすい存在です。これらで訴えられてしまえば、最悪の場合、それまで築いてきた地位や名誉、財産などの全てを失うことにもなりかねないことを自覚して、いち早く「リア王症候群」から脱していくことを目指したいものです。

 そのためには、不機嫌を克服して努めて笑顔で、上機嫌に軽やかに過ごすことが大事なのです。

齋藤孝(さいとう・たかし):1960(昭和35)年、静岡県生まれ。明治大学文学部教授。東京大学法学部卒。『声に出して読みたい日本語』(草思社・毎日出版文化賞特別賞)がシリーズ260万部のベストセラーになり日本語ブームに火をつけた。著書の累計発行部数は1000万部を超える。

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