「スシロー」大幅減益で思い起こされる「かっぱ寿司」の首位陥落劇

 回転ずしチェーン大手「スシロー」を運営するフード&ライフカンパニーズが、22年9月期連結決算を発表し、純利益が前期比で72.6%減少していたことが明らかとなった。「おとり広告」など不祥事が続いたことが影響していると見られている。

「純利益が36億円と前期から大幅に減少した理由について、同社は円安や水産資源の減少等による食材の調達コスト、物流費、地代、人件費、設備・建設資材の高騰に加え、おとり広告や生ビール半額キャンペーンのフライング掲示など『お客様の信頼を損ねる事態を招いた』ことを挙げています。11月4日の決算説明会で水留浩一社長も『売り上げを落としたくないとの思いがあった』と一連の不祥事を釈明。『お客様が第一という認識が薄くなっていた』と反省を述べたのです」(社会部記者)

 回転寿司ユーザーの間では、《身から出た錆》など厳しい意見が相次いでおり、《スシローだけが圧倒的に美味いすしを安く出しているわけでもない。今回の不祥事で自分は他の回転ずしチェーンに乗り換えた》《スシローもくら寿司もはま寿司もそんなに違わないのに、何で今までスシローばっかり行ってたんだろうと思う。目が覚めた客も多いのでは》など、すでに他チェーンへ乗り換えたという声まで飛び交っていた。

 これまで回転ずし業界首位を守り続けてきたスシローだが、王座陥落もあるのだろうか?

「決算を見ると純利益は大幅に減少していますが、売上高は前期比16.8%増で、営業利益も55.8%増とむしろ悪くありません。海外事業が好調だった影響もありますが、国内でもそこまでスシロー離れが加速しているという印象は受けませんね。11月からはホームページやアプリで事前に品切れ状況を確認出来るシステムを導入するなど不祥事への対応も進められていることから、今後もそこまで大崩れはしないのではないでしょうか。ただ、かつては業界首位だったかっぱ寿司が業界4位まで転落していったケースもあるため、再びトラブルを起こすようなことがあれば、一気に首位陥落の危険が高まりそうです」(経営コンサルタント)

 反省を十分に活かしてほしいものだ。

(小林洋三)

ビジネス