「スシロー」大幅減益の原因は「迷惑動画騒動」ではなかった!

 回転寿司チェーン大手「スシロー」を展開するフード&ライフカンパニーズが5月9日、23年3月中間決算(22年10月~23年3月)を発表。本業の儲けを示す営業利益が前年同期比で45.3%減の52億円と大幅な減益だったことが明らかとなった。

「売上収益は前年同期を上回っていますが、これは海外事業の売上高が2.2%増の1432億円と好調だったためで、国内のスシロー事業の売上高は12.1%減の987億円と不振でした。既存店客数もすべての月において前年同期比でマイナスとなっており、客足が遠のいているのは明らかです」(経済ライター)

 客離れの原因として考えられるのは、今年1月にスシローで醤油ボトルの注ぎ口を舐めるといった迷惑行為を撮影した動画がSNSに投稿され、大きな社会問題となったことが挙げられるが、実は1月と2月の既存店売上高は他の月と比べても大きく増えている。これは、同チェーンのファンやインフルエンサーらがSNSで「#スシローを救いたい」と寿司を食べる様子などを動画で投稿したことが、利用客増につながったと思われる。

「売上や客数の増加という点で見れば、迷惑動画は好影響を与えたと言えるでしょう。では、なぜスシローで客離れが進行しているのかといえば、100円寿司をやめて値上げしたことが大きく影響しているのは間違いありません。また、SNSでは昨年6月に発覚したおとり広告や7月に発覚したビール半額の誤掲示問題があったことから、《あれ以来スシローには行っていない》といった声も根強く、実際に昨年7月以降に客数が伸び悩んでいるんです」(経営コンサルタント)

「#スシローを救いたい」のおかげで1月と2月の客数は増加したが、3月と4月は再び減少傾向にある。このままではさらなる客離れが進んでしまうかもしれない。

(小林洋三)

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