警視庁少年育成課が過剰な「推し活」に注意喚起を促した。Twitter上では《子供が学校から配られたプリントです》《これ学校に掲示されてた》と、同庁が作成した注意喚起のプリントの画像が続々とアップされている。プリントには 「過剰な『推し活』は金銭の浪費、生活の乱れにつながります!」「『メン地下』というキーワードがでたら、早めにご相談を!」と、メンズ地下アイドル(通称“メン地下”)にハマる女子中高生と、その保護者に向けた強いメッセージが並べられている。
プリントにはトラブルの一例として、無料ライブに参加した女子生徒が“推し”にハマり、「チェキ撮影」や「デート特典」などの有料オプション欲しさにパパ活に手を染めたり、家庭のお金を持ち出してしまう事などをあげ、トラブル相談が急増しているとも記載されていた。
この注意喚起プリントが拡散されると、メン地下ファンからは《推し活がまるで犯罪みたいに書かれてる》《一部の事務所やアイドルがお金を巻き上げるようなやり方をしているのは事実だけど、“メン地下”で一括りにされたら風評被害すぎる》などの声があがった。
警視庁が例にあげたようなトラブルは実際に起きているのだろうか。メン地下現場に足繁く通う、都内在住の女子高生に話を伺った。
「私の推しは比較的良心的な価格設定で、ライブのチケ代が大体4000円、撮影会では、1枚1000円でチェキが撮れます。しかも、チェキ50枚で“プリ同”(プリクラ同行)ができるんです。お金が貯まったので、最近初めて“プリ同”をしてきました。プリ機の中では、推しと2人きりになれて、ハグとかほっぺツンツンもしてもらって…。プリだけじゃなく、私のスマホで自撮り動画も撮ったし、5万円で推しと一緒にいれる時間を買ったって感じです。でもやっぱり、“リア”(リアル中高生)が現場でチェキ積んでたら、パパ活か“親金”(親のお金)って周りのオタクに疑われます(笑)。もちろん、ちゃんとアルバイトで稼いだお金ですよ!」
「推し活」の先に、パパ活などのトラブルを抱えてしまうかどうかは個人の問題であるように感じるが、警視庁が注意喚起するほどの危険度も取材の中で見えてきた。元“メン地下”スタッフの男性はこう話す。
「日の当たらない地下アイドルにとって、チェキの売上は大きな収入源であり、人気の指標でもあります。うちのグループはアイドルにチェキバックが30%入る仕組み。ファンに何枚もチェキを買ってもらうため、過剰なスキンシップで売上をあげるメンバーもいます。撮影会では『粘膜以外ならOK』というスキンシップの掟があるので、ハグやキス寸前の距離で撮影していますが、“プリ同”では本当にキスをする“キス営”メンバーもいます。SNSではファンによる自慢投稿も目立つようになり、過剰ファンサ(ファンサービス)がファン同士のマウント合戦の元にもなっていて、『誰よりも推しに貢ぎたい』という気持ちを煽っているのが現状です」
アイドルを応援すればするほど見返りがもらえる現状のシステムでは、トラブルも起こり得るだろう。警視庁が注意喚起するのも頷ける。
(浜野ふみ)
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