この8月、日本テレビ系列の「金曜ロードショー」(金曜午後9時)では、8月12日に『天空の城ラピュタ』、19日に『となりのトトロ』、26日に『耳をすませば』のジブリ作品が3週連続で放映された。ラピュタのテレビ放映と言えば「バルス祭り」がお馴染みだが、今回も放送開始直後にツイッターのトレンドで世界一になり、相変わらずの人気の高さを見せた。
これと似た話で、株の世界では「ジブリの法則」というものがある。「金曜ロードショー」でジブリ作品が放送されると、直後に「円高」や「株価下落」が起きるというものだ。これはアノマリーと呼ばれるもので、都市伝説やジンクスの類いに過ぎないが、それだけその対象は人々の関心を集める出来事ということでもある。
そして今回は「3週連続」ということで、果たして結果はと言うと、
「歴史的というほどマーケットは動きました。アメリカで26日にNYダウが1008ドル(1ドル130円とすれば13万円超)も下落し、それにより、アマゾンの共同創設者のジェフ・ベゾスは68億ドル(同8840億円)、テスラCEOのイーロン・マスクは55億ドル(同7150億円)を損失、アメリカの富裕層の資産の780億ドル(同10兆1400億円)が吹き飛ぶ事態となりました」(経済ジャーナリスト)
実はこれ、アメリカで世界各国の中央銀行首脳らが集まって金融政策などについて話し合う「ジャクソンホール会議」というものが開かれたのだが、その最終日の26日に、アメリカ連邦制度理事会(FRB)のパウエル議長がインフレ退治として長期にわたる金利の利上げを行う方針についてスピーチしたことから、その反応としてマーケットが動いたことによるものだ。
市場ではしばらくしたらFRBは利下げに転じるとの観測が流れていたことから、その目論みに対する反動が大きく、わずか8分間のスピーチがマーケットの急落を招いてしまった。そのタイミングに金ローの放送が重なったため、アメリカで壮大な「ジブリの法則」が発動した形になり、市場で冗談を交えて「法則」が引き合いに出されているというわけだ。
では肝心の日本経済への影響はどうだったか。
「アメリカの大きな下げを受けて、世界経済が大幅に後退するとの警戒感から日経平均は先週末から一時、800円以上も値下がりしました。円相場でも先週末より2円ほど安い1ドル139円台と、1カ月半ぶりの円安になりました」(同)
と、結果としてアノマリーは今回も当てはまる形となり、世界経済の混乱とはよそに、今後もジンクスとして語られていくだろう。
(猫間滋)