U-18大会代表が「大阪桐蔭プラス全国精鋭」になった真相

 夏休み最後の日は「進路選択」をかねて、大学生と試合——。

 8月31日、「第30回U-18ワールドカップ」を戦う高校球児・日本対表チームが大学代表チームと壮行試合を行う。U-18チームは28日から始動し、壮行試合後に渡米。9月9日から計12カ国で「世界一」を争う。しかし、渡米前に解消しておきたい問題もないわけではない。
 
 夏の甲子園大会覇者の仙台育英からU−18チーム入りしたのは、古川翼投手だけ。準優勝校・下関国際からも仲井慎内野手しか選ばれていない。これに対し、ベスト8で消えた大阪桐蔭からは、川原嗣貴投手、松尾汐恩捕手、伊藤櫂人内野手、海老根優大外野手の4人が選ばれた。
 
「今夏の甲子園に出場できなかった履正社・光弘帆高、広陵・内海優太両内野手も選ばれました」(アマチュア野球担当記者)

“精鋭20人”は高校野球の専門誌、スポーツ新聞のドラフト情報コーナーなどで紹介されてきた有名人でもあるが、選手選考の基準に関しては明らかにされていない。

「日本高野連が選考委員会を編成し、会議が何回か開かれ、8月22日の発表に至りました」(前出・同)

 大会や個人成績による当落の基準もないという。選考委員会のメンバーの判断次第のようだが、こんな声もある。

「全校の精鋭が招集されるのは、U−18大会前だけではありません。技術強化的な意味合いも含め、春に合同練習を行います。都道府県の高野連スタッフの報告、地方大会などの活躍も見て、総合的に判断しているようです」(関東の私立校指導者)

 また、代表監督の意向も多少だが、加味されるそうだ。

 具体的な選手名こそ出さないものの、「機動」「堅守」など、代表監督が国際大会を戦ううえで必要だと思うポイントを伝え、選考委員会が最終的な判断を下すという。
 
 今回のU−18メンバーを見る限り、いわゆるホームランバッターといえるのは高松商の浅野翔吾ぐらい。しかし、好機に強いスクラッチヒッターが多い。全国の精鋭を預かる馬淵史郎監督(明徳義塾)はチーム総合力で勝ち上がっていこうとしているのかもしれない。
 
「壮行試合は高校球児たちの進路選択に大きな影響を与えそうです。大学生投手のスピードや変化球のキレに打ち勝った球児は『プロ』を意識するでしょうし、進学希望の球児は試合前の練習に見入っています」(前出・アマチュア野球担当記者)

 U−18大会本番で将来のメジャーリーグ行きを意識する球児も出てきそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

スポーツ