上野と似たようなケースでは、昨年に休業した深田恭子の代役として「推しの王子様」に主演した比嘉愛未(36)がいる。平均視聴率は4.9%と芳しくなく、深田であったならばと比較される受難も味わった。
「とはいえ、上野と戸田のギャラ相場が近いのに対し、比嘉は深田の半値程度。数字が見込めなかったドラマの被害を少なくしてくれたという見方もできます」(ドラマ関係者)
24年に放送する大河ドラマ「光る君へ」の主演が発表された吉高由里子(34)も6位入賞してしまった。
「『最愛』は視聴率こそ期待を下回りましたが、第1話の無料見逃し配信再生回数が、初回放送後1週間で287万回を記録し、TBSドラマの歴代1位を獲得しています。さながら、広告料で“ギャラ泥棒”分は補填できたものと考えるべきでしょう」(TBS関係者)
単純に視聴率だけでの評価では成り立たなくなっている時代を象徴しているようだ。
さて、改めて上位陣の顔ぶれを見ると、2位の米倉涼子(46)や8位の沢口靖子(57)、9位の天海祐希(54)と、長寿人気シリーズで主演を張るベテラン女優たちの名前が目立つ。
「実績のある彼女たちをギャラ泥棒扱いするのは不憫な気もしますが、今後も〝テレビ離れ〟は進み、番組制作費がセーブされるのは必至です。一方、ギャラを下げるのは自らの商品価値をクサしているようなもので、芸能界ではタブー視されている。今後はさらに高額ギャラがネックになりそうです」(芸能ジャーナリスト・平田昇二氏)
シリーズ化された連ドラ女優は、どうしても高額ギャラにランクされてしまう。それでも、ドラマ事情に詳しいライターの張本茂雄氏は、沢口の名前を出してこうかばう。
「ギャラが高いのは今までの貢献度があるからです。ポッと出の女優と一緒にしてはいけません。アイドル主演作が増え、学芸会化が叫ばれる昨今、骨太な同作品はドラマ界の良心。効率よく稼げるバラエティなど一切目もくれず、長年、女優一本でやっている沢口靖子の存在は貴重です。視聴率など関係ありません」
よもや、今回の企画の根底を覆しかねない指摘だが、視聴者にもこうした思い入れがあるからこそ、ギャラ相場の革新的な改革はままならないとも言えるのだ。
ちなみに米倉に関しては、件のドラマはより高額なオファーだったが、事務所独立後の初連ドラ主演であり「自分のギャラを上げるより他に使って」と持ち前の姉御肌を発揮。大物ゲストを招集するために自ら単価を下げたとも言われる。
(女優編3につづく)
*「週刊アサヒ芸能」8月4日号掲載