東京の水産加工会社「築地魚市場」が2万匹以上の冷凍メバチマグロの原産地を偽って販売していたとして、農林水産省は7月15日、食品表示法に基づく是正などを求める指示を出したことが明らかとなった。
アサリにワカメにウナギなど今年に入って多くの産地偽装が問題となっているが、今後さらに増える可能性もあるという。
「農水省によると、同社は豊洲市場に7社しかない“セリ”で販売する大卸の1つで、133社の仲卸業者へ少なくとも2018年4月〜21年10月に販売した2万3530匹の冷凍メバチマグロについて、中国産を台湾産、バヌアツ産を台湾産、中国産を日本太平洋産と表示するなど不適切な表示があったといいます。築地魚市場の担当者は『食品表示制度を守らなければいけないという認識がなかった』と話しており、扱う冷凍マグロの2割で表示が異なっていたとみられています」(社会部記者)
今年1月に熊本県産アサリの97%が外国産だった可能性が高いことが明るみになると、奈良県のウナギ料理店が中国産を国産と偽っていたことや、静岡の食品加工会社が外国産ワカメを鳴門産と偽っていたことが次々と発覚。それだけにネット上では、《アサリもそうだけど、これだけ大量に長期間にわたって偽装をしているのなら明確に悪意がある。それが是正指示で済まされる意味が分からない》《水産業者では産地偽装が横行しているし、同業者のタレコミがなければ分からない状態。もっと産地偽装を厳しく罰して抑止力を与えるべきだと思う》など厳罰化を求める声も少なくない。
「これだけ産地偽装が連続で発覚すると、自分たちの食べているものが本当に正しい産地が表示されているか疑心暗鬼になってしまいますよね。しかし、今後、さらに産地偽装が増えるかもしれません。というのも、原油の高騰によって水産物の価格も値上がりしているため、できるだけ消費者に手にとってもらえるように産地を偽装して販売する業者がさらに出てくる可能性があるのです。大卸でさえ食品表示制度を守る認識がないほどコンプライアンス意識が低かったわけですからね…」(流通ジャーナリスト)
厳罰化以外、産地の信用を取り戻す術はないものだろうか。
(小林洋三)