総務省が先ごろ、2021年度のふるさと納税の実績を公表し、寄付総額が8300億円を超え過去最高を更新したことが分かった。ネット上では「地方にとって素晴らしい制度」と称賛の声が上がっているが、一方でまだまだ課題も少なくないようだ。
「21年度のふるさと納税の寄付総額は8302億4000万円となり、これまで最高だった去年の6725億円を1500億円以上も上回り過去最高を更新しました。コロナ禍による巣ごもり需要が影響しているとみられ、寄付件数も過去最高の4447万3000件となっています。なお、最も寄付金を集めたのは北海道紋別市の153億円で、続いて宮崎県都城市が146億円の寄付を集め全国2位となっています」(経済ライター)
寄付総額が大幅に増加していることにネット上では、《限界集落を抱えた地方自治体がアイデアと努力次第では増収のチャンスがある。大都市ばかりが勝ち組にならない良い政策》《都市部の税収減がよく言われるが、人口減少、都市集中の影響による地方都市の地盤沈下の方がよほど問題。地方の特産品をアピールするという意味でもふるさと納税は素晴らしい制度》《地方の助けになっていると思うと嬉しいし、何より返礼品で美味しいものが食べられるから言うことなし》などといった声が相次いでいる。
「11年の寄付総額が122億円でしたから、この10年でおよそ68倍にまで寄付金が膨れ上がったことになります。それだけふるさと納税が浸透したとも言えますが、その一方で制度の趣旨に反する返礼品で寄付を集める自治体が出てきたり、返礼品の選定を巡って業者に便宜を図り賄賂を受け取る事件が起きたり、返礼品の産地偽装、制度の抜け道を利用した現金化サービスなど、トラブルが多いのは課題。金子総務相も『ルールを守って取り組むことが必要だと考えている』と語っているように、地方のためにも正しくルールを遵守して取り組んでもらいたいものです」(経済ジャーナリスト)
制度自体が中止になるような事態は避けてもらいたいものだ。
(小林洋三)
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