「未承認国家」はウクライナ東部だけじゃなかった!?

 ロシア軍が大半の地域を占拠するも、ウクライナ軍の反撃により一進一退の攻防が続くウクライナ東部。この地域にはウクライナも国際社会も承認していないが、親ロシア派勢力が自称し、世界中でロシアだけが認めた「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」という国が存在する。

 こうした“未承認国家”は世界中に点在しており、1つの国からしか認められていないのはドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国を含めて3つのみ。残りひとつは地中海東部に浮かぶキプロス島の北半分を実効支配する「北キプロス・トルコ共和国」だ。

 もともと1960年にイギリスから独立したキプロス共和国という1つの国だったが、親ギリシャ系だったことから北部のトルコ系住民が反発。軍事紛争へと発展し、1975年に分離・独立を宣言。ただし、現時点で同国を承認しているのはトルコのみとなっている。

「国名が示す通り、トルコの衛星国で通貨も同じトルコリラ。国内唯一のエルジャン国際空港からはトルコ行きの便しか出ていません。現在は武力衝突などは起きていませんが対立は根深く、国境には今も緩衝地帯が設けられたままになっています」(軍事評論家)

 また、北キプロスほどではないが、5カ国からしか認められていない未承認国家もある。

「ジョージアの北西部にある『アブハジア自治共和国』と北部にある『南オセチア共和国』です。ここはロシアをはじめ、ニカラグラとベネズエラ、シリア、ナウルがそれぞれ承認しています。まあ、いずれもロシア軍が駐留し、独立国というよりはロシアの実効支配地域ですけど。他には91年にソマリアから独立を宣言した『ソマリランド共和国』は、国家承認はされていないものの10カ国が在外事務所を置き、また西サハラの名で知られる『サハラ・アラブ民主共和国』は48カ国が承認していますが、日本はいずれも国家として認めていません。ウクライナ東部の2つの共和国に関しては、経緯が経緯だけで親ロシア派の国々から承認を得るのは難しいでしょうね」(同)

 ロシア側の思惑はともかく、国際社会が国家として認めないとノーを突きつけている事実は重い。

*画像は北キプロス・トルコ共和国の街並み

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