牡蠣の「生食用」表示の見直しへ、政府の検討案に批判噴出のワケ

 4月19日に開かれた衆院消費者問題特別委員会で、若宮健嗣内閣府特命担当大臣が店頭で販売される牡蠣の「生食用」表示について、見直しを検討する方針であることを明らかにした。ただし、これには《気軽に生牡蠣が食べられなくなるのではないか?》と懸念する声も出ている。

「店頭で販売されている牡蠣の『生食用』と『加熱用』の違いを“鮮度の差”と勘違いしている人が多いようですが、保健所の水質検査をクリアした海域で育った牡蠣のみが『生食用』と表示できるのです。しかし、水質検査をクリアした海域であっても牡蠣はノロウイルスが蓄積しやすいこともあり、牡蠣でたまにあたることがあるという若宮大臣は、『表示の仕方などの見直しを検討したい』と、牡蠣の『生食用』について変更する意思があることを示したのです」(社会部記者)

 これにネット上では、《これまでよりも「生食用」表示を厳しくするとなると、気軽に生ガキがたべられなくなるのでは…》《牡蠣を食べたことでノロウイルスに感染する確率ってそんなに高いか?》《100%の安全なんてないんだから今のままでいいいと思う》など、表示の見直しに反対する声が多く見られた。

「牡蠣にあたるかどうかは、その時の体調や免疫力の状態によるところも大きいですし、『ウェザーニュース』が2018年に実施したアンケート調査では、牡蠣にあたった経験があると回答とした人は約9000人中の22%ほど。牡蠣=ノロウイルスというイメージを持っている人も多いかもしれませんが、実はノロウイルス食中毒のうち牡蠣が原因によるものは10%程度なのです。現段階では、『生食用』という表示自体について見直しを検討するのか、『生食用』と表示する基準の見直しを検討するのか不明ですが、『生食用』表示の牡蠣であたったからといって一概に基準を厳しくするのは、少々敏感すぎるかもしれませんね」(フードジャーナリスト)

 表示の見直しによって締め付けを厳しくするのではなく、あくまで皆が安心して食べられる環境にしてもらいたいものだ。

(小林洋三)

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