プーチンが怖がる「コロナと暗殺」 葬式に「核のカバン」を持参した危うさとは

「山岳地帯の地下都市にいる」。いや、「森林地帯に別荘があってそこにいる」。暗殺を恐れているとされるプーチンは、大統領府以外で姿を見せることはなく、その大統領府でも暗殺と同時にコロナ感染を恐れていて、人と会う際は滑稽なほど距離を置いている光景はもはやお馴染みのものとなっている。

 そんなプーチン大統領が、3月18日のクリミア併合の記念行事以来、半月ぶりに人前に姿を現した。4月6日に亡くなった極右政治家のウラジミール・ジリノフスキーの葬儀が8日、モスクワにある救世主ハリストス大聖堂で行われたのだが、これに参列したのだ。

「ジリノフスキーはかつて、北方領土を返せと言い続けるのなら『東京に原爆を落とせ』と発言したこともある過激な民族主義的政治家です。野党の極右政党の党首でしたが、近年は法案採決で与党に同調するなどして体制内野党としてプーチン政権を支えてきました。2月からコロナに感染して入院中でした」(全国紙記者)

 そんな“同士”が亡くなったとあれば、プーチンも人前に出てこざるを得ない。ましてや葬儀の場だ。プーチンはバラの花を棺の中に入れ、十字を切ったが、この時ばかりは武装した警備員も近くにはいない。だが、離れて控えていた男は最強の装備を携えていた。「核ミサイルのボタン」だ。

「葬儀の場に現れたプーチンが従えていた男が黒いカバンを右手にさげている映像が伝えられています。葬儀の場には場違いなその少し厚手のアタッシェケースのようなカバンと、1999年にエリツィンが大統領を辞任してプーチンが後を引き継ぐ折に手渡された『核のカバン』が写った写真を見比べてみると、大きさや形状などがほぼ同じです。プーチンは久々に人前に出るに際し、もしもの時を考慮して『核のカバン』、すなわち『チェゲト』を携えて来たと見られています」(同)

 アメリカでは「核のフットボール」とも呼ばれる。やはり黒い厚手のアタッシェケース状で、今回のプーチンと同様、アメリカ大統領がホワイトハウスを離れている時には、これを携帯した軍事顧問が帯同することになっている。チェゲトの場合はロシア大統領に付き従う士官が持ち歩く。

 核のボタンを押す場合は、大統領がまず発射のコードを国防相に送り、さらに国防相が参謀長に送るという「トリプルキー」方式になっている。これは先に攻撃する場合の話で、もしロシアが核兵器の攻撃に晒された場合は、仮に大統領による統制が失われていても自動的に反撃制裁を行うシステム、すなわち「死の手」が働くことになる。

 暗殺を恐れるプーチンが、久々人前に出てきたと思えば「核のミサイル」持参だったというのだから、いずれにせよそら恐ろしさを感じさせるばかりだ。

(猫間滋)

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