三陸道「トイレなし区間」が250キロ!その理由に利用者から驚きの声【2022前半BEST】

 2022年前半に公開された「AsageiBiz」のラインナップで、ひときわ反響が大きかったのが当記事だ。昨年暮れに開通したばかりの「三陸道」だが、なぜか250キロもの“トイレ空白区間”があるという。その理由はまさかの……。(3月13日配信)

 東日本大震災の復興道路として国が整備を進めてきた仙台市と八戸市を結ぶ三陸沿岸道路(三陸道)が、全面開通したのは昨年12月のこと。宮城、岩手、青森3県の太平洋沿岸を貫く総延長359キロの大動脈が完成したことで、産業活性化や観光振興などに大きな期待が高まったことは記憶に新しい。

 ところがそんな中、青森県八戸市から宮城県気仙沼市までの約250キロに「トイレ空白区間」があることをめぐり、利用者から賛否の声があがっている。

 地元紙記者が説明する。

「三陸道の開通により、仙台市−岩手県宮古市間の所要時間が約2時間、宮古市−盛岡市が約35分、福島県相馬市−福島市が約25分それぞれ短縮されることになり、人とモノの流通が増加。岩手県への経済波及効果は年間540億円とする民間の試算もあります。一方、所要時間短縮により、仙台からの日帰り圏が拡大。結果、宿泊需要の減少が懸念され、沿線観光地へ滞在してもらうための魅力づくりが大きな課題でした。そこで、本線を通り過ぎるだけではなく、周辺地域に立ち寄ってもらい地域の活性化につなげるために、あえて『トイレ空白地帯』を作り、自動車道から地域にある道の駅などの利用を促す狙いがあったといいます」

 とはいえ、通常パーキングエリア(PA)の設置間隔は15キロ、給油所や食堂などを併設するサービスエリアも50キロが目安とされている。にもかかわらず、三陸道には大谷海岸インターチェンジ(IC、気仙沼市)以北はトイレを備えたPAがないので、途中でもよおした場合、一度インターを降りてトイレを探さなければならない。

 この点について利用者からはSNSで《いくら足を運んでもらいたいといっても、だからといってトイレを作らないってどうなのかなぁ?》《地方の高速はどこ行ってもトイレが少ないけど、さすがに250kmの空白地帯はありえないだろ?》《トイレもそうだけど、給油はどうなってるんだろう? そっちの方が心配》といった声が多く、それでもなかには《ほとんどの区間が無料で使えて、移動時間も短くなったから、それほど心配ないんじゃない》《高速料金がほぼ無料ならインター下りれば良いだけ》《前もってトイレがないこと把握しておけば、無駄な水分取らなければいいだけだろ。問題なし》とのコメントもあり、利用者の間でも賛否両論、意見が分かれているのが実情のようだ。

 ともあれ、利便性が良くなることで、必ずついて回る「日帰り可能」化問題。それを食い止めるために、あらゆる自治体や地域が、今も知恵を絞っていることだろう。
 
(灯倫太郎)

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