プーチン「核ミサイル」照準は「英仏間の公海」に【3】特殊部隊が続々とキエフに

 米欧露の軍事情勢に詳しい国際政治アナリストが指摘する。

「実は、ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻に先立つこと2カ月以上も前の昨年12月、バイデンは米陸軍のデルタフォースや米海軍のシールズなどの特殊部隊を、ゼレンスキー大統領(44)の軍事作戦顧問として、ウクライナの首都キエフに送り込んでいます。編成部隊の規模は、昨年末時点でも優に100名を超えており、任務の指揮はCIAのウクライナ方面担当が執っています」

 加えて、イギリスのSIS(秘密情報部)もこのCIAの指揮下に入る形で、昨年末までには英陸軍のSAS(特殊空挺部隊)や英海兵隊のSBS(特殊舟艇部隊)をはじめ、やはり100名を超える規模の特殊部隊をキエフに送り込んでいたというのだ。国際政治アナリストが畳みかける。

「その後も戦況に応じて米英から特殊部隊が陸続と追加投入されるとともに、米英をはじめ、NATO諸国からは最新鋭兵器も提供されています。中でも対戦車ミサイルのジャベリンと地対空ミサイルのスティンガーの威力は絶大で、ロシア軍は首都キエフへの侵攻作戦はもとより、圧倒的優勢が伝えられていたウクライナ東部のマリウポリやハリコフの陥落作戦でも、予想外の苦戦を強いられることになったのです」

 ジャベリンとスティンガーはいずれも携帯式の最新鋭兵器で、正確に照準を定めなくても、発射されたミサイルが自動的に標的を捕捉して撃破する。中でもジャベリンは自動的な標的撃破能力だけではなく、装甲の最も弱い戦車の天井部分を狙い撃ちにする特殊能力まで兼備しているのだ。

「米英の特殊部隊、すなわちNATOはさらに、ウクライナとの国境スレスレのポーランド側にAWACS(早期警戒管制機=情報哨戒機)を飛ばし、ロシア空軍のウクライナ西部における動きを逐一、ウクライナ軍に伝えているほか、偵察衛星や地上レーダーなどで確認された、ウクライナ全土におけるロシア陸軍の動静情報も提供しています。キエフに進軍する戦車がジャベリンによって破壊される模様を映し出したドローン映像も、米英の特殊部隊によるこのような空と陸にわたる正確な情報の提供と分析があったからこそ、全世界に配信できたのです」(国際政治アナリスト)

*「週刊アサヒ芸能」4月7日号より。【4】につづく

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