ロシアがウクライナに侵攻して2週間以上が経つ。テレビをつければニュースはウクライナ関連で埋め尽くされているが、現実社会からは縁遠いと思われがちなユーチューバーやゲーム実況の世界にもその衝撃は浸透しているようだ。
「SAWAYANはトカチョフ・サワとヤンのウクライナ人兄弟が運営しているYouTubeチャンネルで、メインの動画投稿とゲーム実況、撮影の裏側の3チャンネルから成り立っています。このSAWAYANのゲームチャンネルで3月5日に生配信した『マリオカート8デラックス』の実況が、投げ銭機能のあるスーパーチャット(スパチャ)で日間ランキング世界一の358万円を集め、ゲーム実況界で話題になりました。そしてSAWAYANのツイッターによれば、集まった金額は全てウクライナ大使館を通じて支援基金に寄付したそうです」(ゲームライター)
あまりこの世界に詳しくない人が聞けば、日本語を話すウクライナ人が“時の人”となって同情票が入ったのだろうと思うかもしれないが、決して今回の数字はフロックではなく、彼らのチャンネルは以前から定評があった。
SAWAYANはYouTube日本版公式ブログで、20年に最も躍進したチャンネル(芸能人やスポーツ選手は除く)の5位として紹介されたことがあるくらいなのだ。だからメインのサワヤンチャンネルは登録者数92万人で、ゲーム実況のサワヤンゲームズは119万人を擁する。
ところが事態が事態だけに一般の人からも注目が集まり、2月24日にロシアが侵攻を開始した日には、日本テレビの「news zero」にコメント出演。3月8日には河野太郎・自民党広報部長のトークLIVE配信チャンネルの「たろうとかたろう」に出演して、ウクライナ情勢についての対談を行っている(ちなみに翌9日にアップされた動画のタイトルは「プーチンの馬鹿、聞け。」だ)。
「対談の中では2人が河野さんに中国に圧力をかけるよう迫る場面もありました。河野さんは慎重に言葉を選びながらも、その必要性を暗に認めるような対応でした」(同)
“マリオ”が日本とウクライナをつなぐというのも奇妙なように思えるが、性別や国籍を問わずつながるのがゲームやユーチューブの世界なのだから、むしろ堅苦しい政治の話よりもこちらの方が実はずっと早かったのだ。
(猫間滋)