「廃駅」と聞いて、多くの方が思い浮かべるのは鉄道駅の廃止。JRグループではこの10年間で廃止されたのは約120駅。3月にはダイヤ改正に伴い、秋田県と北海道で計9駅の廃止が予定されている。
だが、廃止になるのは鉄道駅だけではない。国土交通省は1月末で「フォーレスト276大滝」(北海道伊達市)、「足寄湖」(北海道足寄町)の道の駅2ヶ所の登録を抹消。北海道の道の駅では初となる措置だ。ちなみに、過去に登録抹消された道の駅は、京都府「茶処 和束」(04年抹消)と兵庫県「山崎」(13年抹消)の2カ所ある。
「国内には約1200ヶ所の道の駅があり、今も増加傾向です。今回登録抹消された2駅が道の駅として認可されたのは90年代。いずれも国道沿いにありましたが交通量が多い地域ではなく、当初から客足はそれほど多くありませんでした」(旅行ガイド編集者)
ちなみにフォーレスト276大滝は、当時ログハウスとしては世界最大の建物で1億円をかけた超豪華トイレも注目されたが話題になったのは最初だけ。10年にはタレントの田中義剛が代表を務める花畑牧場が運営を行うも、わずか半年で撤退。その後、事業を引き継いだ会社は17年10月に破産し、以来休業状態となっていた。
一方の足寄湖も同じ足寄町の中心部にある道の駅「あしょろ銀河ホール21」のほうが規模も大きく、地元出身の歌手・松山千春のゆかりの品々を展示したギャラリーを併設。多くのドライバーはこちらに流れていたため、売店やレストランも休業が続いていたという。
「道の駅は辺鄙な場所にあるケースも多く、開業から築年数が経っている場合は建物の老朽化などの問題もあります。週末になると駐車場が埋まるほど賑わっていても、平日はまばらな所が多い。なかには週末でも閑古鳥が鳴いている施設もあります。しかも、多額の維持費用がかかり、実際には赤字経営という道の駅も少なくない」(同)
近年は飽和状態とも言われているだけに、今後は採算に見合わない道の駅の登録抹消ラッシュが始まるかもしれない。
(高島昌俊)