日本で2番目に小さい動物園で「動くヌイグルミ」が世界最高齢のギネス記録

 2月11日、日本の100年もののワインがギネス世界記録に認定されたと発表された。だがこれ、お酒の「ワイン」の話ではない。大阪・池田市の「日本で2番目に小さい動物園」で飼育されているウォンバットの「ワイン」(オス)が今年で32歳を突破して、世界最高齢を更新中。そこでギネスが「世界一」に認定したという話。飼育されたウォンバットの平均寿命は20年ほどなので、ワインは人間で言うと100歳を超える高齢ということなのだ。

「『動くぬいぐるみ』とも称される“珍獣”ウォンバットは、つぶらな瞳を持ち、短い脚に1メートル前後のずんぐりとした体つきで、内またで歩く姿が愛らしくまさに動くぬいぐるみのようです。ちなみに尻尾は豆粒くらいの大きさしかありません。タスマニア州などオーストラリア東南部にしか生息しておらず、絶滅の恐れは低いものの頭数は少なくて、州の保護動物となっています。ただ、ヒメウォンバットとキタケバナウォンバット、ミナミケバナウォンバットの3種類がいますが、キタケバナウォンバットは一時期、30頭程度までまで減少したことがあってこちらはけっこう危ない。コアラやカンガルーなどと同じ有袋類で、幼い頃は母親の袋の中で過ごしますが、ウォンバットの袋は後ろ向きについているので、母親の後ろ足の間から赤ちゃんの顔が覗いて見えることもあります」(動物園に通うウォンバット愛好家)

 数が少なく変わった生態故に「珍獣」と呼ばれるが、いずれにせよ希少で貴重な存在だ。日本で見られるのは、池田市の五月山動物園にいる4頭と、長野県の茶臼山動物園の2頭の6頭のみで、いずれもヒメウォンバットだ。池田市の場合、1965年にオーストラリア・ローンセストン市と姉妹都市となったことからワラビーなどが贈られて、90年に3頭のウォンバットも日本に来た。ワインはその最初の来日組の1頭だ。

 動物園によると、ワインは1989年11月にタスマニア島で母親が交通事故で亡くなったところを保護されたという。その時の体の大きさなどから同年1月に生まれたものと推定される。だから今年1月で32歳と86日。それまでの記録はオーストラリアで飼育されていた30歳と200日が最高記録なので、ワインはすでにブッチ切りの長寿だったのだ。ギネス世界記録ではこの辺りの来歴を残された資料などから精査し、結果、世界記録認定となった。

「2月11日は、コロナの感染拡大から当初予定していたイベントを縮小して、関係者のみ列席の寂しいセレモニーでした。動物園入り口で池田市長や議会関係者、在日本オーストラリア総領事夫妻などが列席し、認定が発表されるとお祝いのくす玉が割られるという、いかにも“公式行事”といった感じ。ところが当のワインはそんなことはどこ吹く風で、動物園内の自分の庭のエリアに出てきてスヤスヤと眠りながら午前の日向ぼっこを楽しんでいました。最近は隣のエリアのメスのユキと仲良く鼻を寄せ合う姿をよく見ます。その辺りも長寿の秘訣なのかもしれませんね」(同)
 
 動物園によると、長寿の秘訣は早寝早起きと、開園と同時に庭に出てきて散歩をする運動。そしてよく食べ、昼寝を含めてよく寝るといった、健康的で規則正しい生活とか。我々人間も、ワインの生活を見習いたいものだ。

(猫間滋)

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