C 前回の座談会でも指摘されたことですが、日本でデルタ株による感染拡大が終息に向かったのは、偶然の変異によって自滅株が誕生し、自滅株がデルタ株を駆逐したからです。にもかかわらず、岸田総理は対策が奏功したからだとして、終息を自分の手柄に仕立て上げた。味を占めた総理は、今回のオミクロン株でも早期のピークアウトを念頭に、2匹目のドジョウを狙っているのです。
B ところが、岸田総理が描く「第6波は間もなくピークアウトを迎える」というシナリオにも、すでに黄信号が灯り始めているのです。
─どういうことですか。
B オミクロン株は凄まじい感染力を有しているがゆえに、感染が爆発的に拡大して集団免疫が早期に形成されます。これが自滅株説とはまた違う早期ピークアウト説の理論的根拠となり、ニューヨークやイギリスでピークアウトが起きているのも、集団免疫によるものと考えられています。ところが、そこにBA・2と呼ばれる厄介な変異株が出現してしまった‥‥。
─先ほど指摘されたオミクロン株の亜種ですね。
B そのとおりです。オミクロン株には現在株のBA・1に対して、BA・2とBA・3という2つの変異株が確認されていますが、BA・2はすでに日本国内に流入しています。このBA・2株の感染力はBA・1株の2倍程度に達するとの報告も上がってきており、BA・1株がピークアウトする前にBA・2株の感染爆発が始まるのではとの懸念が広がり始めているのです。
A 実際、4回目のワクチン接種が進むデンマークでも、BA・1株の感染爆発が収まりかけたところで、BA・2株による感染爆発が起こり始めています。つまりウイルス学の常識から言えば、日本でも第6波がピークアウトを迎える前に第7波が始まることは、ほぼ確実な情勢なのです。
─BA・2株の毒性についてはどうでしょう。
B 海外ではウイルスの増殖力、すなわち毒性力も強いとの報告が上がり始めています。ただ、このBA・2株が感染力も毒性力も凄まじい変異株、私が最も懸念しているスーパー変異株に該当するかどうかは、現時点ではわかりません。
E これまでの国の体たらくぶりを見る限り、仮に日本がBさんの懸念するスーパー変異株に見舞われたとしたら、過去に例のない多数の死者が出るとともに、経済や社会もジ・エンドとなってしまうでしょうね。
〈座談会出席者〉
A=ウイルス学の専門家/B=公衆衛生学の専門家/C=政府関係者/D=自民党関係者/E=公共経済学の専門家
*「週刊アサヒ芸能」2月10日号より