あの「キャプテン翼」の作者、高橋陽一氏が代表を務める「南葛SC」。物語序盤の小学生編で主人公・大空翼をはじめ、天才GK若林源三や岬太郎らが所属した少年サッカーチームと同名のクラブとして知られている。
その南葛SCに今年1月、稲本潤一や今野泰幸、関口訓充といった元日本代表選手が続々と加入。この時期の選手の移籍発表はよくあることだが、チームが今シーズン戦うのは関東リーグ1部。〝キングカズ〟三浦知良が入団した鈴鹿ポイントゲッターズが所属するJFLよりも下の実質5部リーグに相当する。
いくらピークを過ぎたとはいえ、実績十分の彼らがこのカテゴリーのクラブに一度に3人も入団するのは前代未聞のケースだ。
「ベテラン選手は自分を必要とされていると感じれば下のカテゴリーでも移籍します。しかも、あの高橋陽一さんから求められているわけです。サッカー選手にとって『キャプテン翼』は特別な作品。意気に感じない選手はいません」(スポーツライター)
それは1月25日に入団が発表された今野の「『キャプテン翼』のチームでプレーできるなんて夢のよう」というコメントからも理解できる。ただし、ネームバリューだけで選手を集めているわけではないという。
「トレーナー陣が充実しており、身体のケアやコンディショニングに気を使うベテラン選手にはありがたい。さらに試合前以外の普段の練習では、選手が自身の個人スポンサーのロゴなどをトレーニングウエアに付けることを認めています。しかも、クラブが中間マージンを抜くこともありません。ベテラン選手には個人スポンサーも多く、新たに支援してくれる企業も見つけやすい。年俸が低くても十分な見返りがあり、そのあたりも入団の決め手になったはずです」(同)
カテゴリーは下でも選手ファーストの仕組みにおいては、Jリーグのクラブよりも先を行っているようだ。