米倉涼子主演ドラマ「新聞記者」の評価がビミョーな理由とは?

 現在、Netflixで全世界配信中の米倉涼子主演のドラマ「新聞記者」。原案は、国有地払い下げをめぐる決済文章改ざんの森友学園問題や、理事長が安倍首相(当時)とお友達であることから特別な便宜が疑われた加計問題などを取材していた東京新聞社会部・望月衣塑子記者の同名著書で、同社も本社屋をロケ場所に提供するなど撮影に協力している。

 ヒットが難しいとされる政治色の強いドラマだが、ストーリーは今も国会などで取り上げられる森友学園問題をモチーフにした、かなり踏み込んだ内容。話題性の高さから配信前から地上波の連続ドラマとは比較にならないほど関連記事が紹介され、現職の国会議員たちもSNSなどでこぞって取り上げている。

 実際、米倉も政府の汚職疑惑を暴こうとする記者役を熱演。一般視聴者からの反応も上々で、彼女をトップ女優へと押し上げた「ドクターX」シリーズ(テレビ朝日系)同様、代表作になるとの声も出ている。だが、「評価されているのは、あくまで彼女の演技。作品自体の評価はさほど高いわけではない」と指摘するのはテレビ誌記者だ。

「Netflix作品ということで海外メディアも紹介していますが、なかでも英国ガーディアン紙は『新聞のジャーナリズムと政府の不正行為について、幼稚な見解を示す』『権力を描く複雑なドラマというより善良な市民の生活が不正に奪われる愚直なメロドラマ』とバッサリ斬っている。一部で〝左翼ファンタジー〟などと評された19年公開の劇場版『新聞記者』のときと同様に、現職の記者たちからは『実際の現場との違いに違和感を覚える』といった意見が聞かれます」(同)

 ネットの強みを生かし、忖度当たり前の地上波のテレビ局では制作不可能な作品を映像化。国内では一定の成功を収めたとも言える「新聞記者」だが、政治ドラマの難しさか、世界的な評価は決して高くない様子。「ドクターX」に肩を並べるにはまだ遠い道のりのようだ。

エンタメ