金子原二郎農林水産大臣は12月14日の記者会見で、年末年始に向けて「例年以上に需給が緩和し、処理不可能な生乳の発生が懸念されている」と、このままでは生乳約5000トンを廃棄しなければならない状況あることを明らかにした。
「2014年に店頭から次々とバターが消える“バター不足問題”が発生して以降、関係者一丸となって生乳の生産基盤強化に取り組み生産量が増えたものの、新型コロナウイルス感染拡大による飲食店の営業自粛で業務用の生乳の販売量が激減。また、学校が冬休みに入ることで給食の需要がなくなることもあり、大量の生乳余りが発生したといいます」(社会部記者)
この状況に金子大臣は「消費拡大のためのプロモーションや牛乳を利用した和食・乳和食の普及などを含め、関係者と連携を密にして取り組む」としているが、ネット上では《生乳が余りそうならバターにすればいいじゃない》《いやいや、コロナ禍でバターもチーズも値上げしてるじゃん。むしろ何で加工しないの?》といった声が多く寄せられており、《バターを大量に作ってしまうと値段が下がるからバターにはしないんだよな》《農水省と酪農農家の補助金と関税がらみの既得権益では》などバターにしない理由を邪推するコメントも見られた。
「今回の報道を受け、2ちゃんねるの開設者で実業家のひろゆき氏は『生乳はバターにすると長期保存可能。国産バターの9割は北海道で製造。北海道の生乳は「ホクレン」がほぼ独占。ホクレンは、生乳をバター用にすると利益が減るので増やさない』などとツイートし、北海道の農業協同組合グループ「ホクレン」を非難したことで、《生乳をバターにしろ!》といった声がさらに高まっているようです。しかし実際、コロナ禍で業務用バターの需要も落ち込んでおり、封を開けなければ半年、開ければ2週間程度の賞味期限も存在する。加えて家庭用バターにするためには製造ラインが異なるため生乳をすぐにバターに加工するというのも難しいようです。それでも、昨年も年末年始に『処理不可能乳発生の可能性がある』と日本酪農乳業協会であるJミルクが生乳の消費を促すよう呼びかけていたこともあり、今年の年末年始に生乳余りが発生する可能性は十分に予想できたはずで、もう少し早くから対応できたのではないかという疑問はありますね」(フリージャーナリスト)
消費者に呼びかける前にもっと出来ることがあったのかもしれない。
(小林洋三)