11月7日、米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が、Twitterで自身の保有するテスラ株の10%を売却するべきか否かで投票を呼びかけ、物議を醸している。
株の含み益が租税回避だと指摘されていることに対する提案だと説明しているが、ネット上では《ただ売り抜けたいだけでは?》といった指摘も少なくないのだ。
「10月31日にマスク氏はCNNの番組で、国連世界食糧計画(WFP)のデビッド・ビーズリー事務局長が、60億ドル(約6800億円)の資金があれば“手を差し伸べなければ死んでしまう”4200万人を救うことができると訴えたことに対し、『60億ドルでどうやって世界の飢餓を解決できるのか、WFPがこのTwitterのスレッドで正確に説明できるのであれば、今すぐにテスラ株を売却して協力しましょう』とも投稿。株の売却が飢餓の解決に役立てられる可能性もあることから、投票では株の売却支持が57.9%と過半数を上回ったのです」(ITジャーナリスト)
なお、マスク氏は「どちらにせよ、私はこの投票結果に従います」と投稿しており、投票の結果を受けて保有するテスラ株の10%を売却することが決定的になったことで、9日の米株市場ではテスラ株価が12%安と昨年9月以降で最も大きな暴落となったのだった。
しかし、それでもネット上では《富裕層は株などの含み益にも課税するという意見が出た途端にこれだからな。完全な税金対策》《テスラ株は異常に株価が高騰してるからね。今のうちに売って現金化しておきたいというのが本音じゃないか》《株を売るべきかって投票を募集したら、そりゃあ売るべきになるのは目に見えている。最初から売るつもりでフォロワーを利用しているだけでは》といった声が多く見られた。
「マスク氏自身が『テスラの株価は高すぎる』と言っていますし、現在のテスラ株はバブルと形容されるように、やがて弾けることが予想されていますから、株価が高値にあるうちに売り抜けたいという思いは当然あるでしょう。ただ、いきなりマスク氏がテスラ株を売れば暴落するのは間違いないので、Twitterの投票機能を利用して民意であることを強調したかったのかもしれません。投票結果によってテスラの株価は下落しましたが、それでも年初来から比べれば45%増で時価総額1兆ドルは割っていません。マスク氏にとっては想定の範囲内だったのではないでしょうか」(経済ライター)
本当に持ち株の10%を売却するのか、そしてWFPに60億ドルを寄付するのか、マスク氏の発言に注目が集まっている。
(小林洋三)