「11月に入り、今年も残すところあと2ヵ月を切りましたが、木下富美子氏がこのまま12月1日の時点まで都議として居座り続ければ、月額81万7600円の議員報酬のほか、約205万円のボーナスが入ることになります。木下氏を応援した我々としては、本当に忸怩たる思いしかありませんよ」
そう怒りを込めて語るのは、7月の東京都議選で当時「都民ファーストの会」所属だった木下富美子都議を推した板橋区民ボランティアのひとりだ。
木下氏は都議選の運動期間中だった同月2日、板橋区内で無免許運転中に乗用車に衝突。男女2人に軽傷を負わせたが、その事実を隠したまま4日、都議選で再選。しかし、翌5日には無免許事故が明るみに出たことで、都民ファーストの会から除名され、1人会派「SDGs東京」を立ち上げることになった。
「その後、都議会が辞職勧告決議を全会一致で可決。9月には警視庁が自動車運転処罰法違反と道交法違反の疑いで書類送検したことで、2度目の辞職勧告決議が都議会で可決されました。しかし、その後2度に渡り都議会が召喚状を送付したものの、体調不良などを理由に雲隠れしたまま。10月にも、都議会は再度、木下氏に対して考えを直接、説明することを求める召喚状(期限は11月25日)を送付していますが、法的拘束力はありません。つまり、辞職させることはおろか、現時点では面会すらできていないということ。木下氏のもとにはすでに議員報酬4カ月分のほか、政務活動費として毎月50万円がプラスして支給されています。つまり一度も議会に出席せず、活動することもなく10月末の時点で、4カ月間で約528万円が支給されており、さらにボーナスも渡るとなれば、とんでもない話。まさに不条理としか言いようがありませんよ」(同区民ボランティア)
議会では地方自治法に基づく「懲罰」を求める声もあがっており、最も重い除名処分は本会議に3分の2以上の議員が出席し、4分の3以上の賛成で成立するというが、
「とはいえ、公選法では禁固以上の実刑となれば失職するとの規定があるものの、執行猶予がつけば免れる。しかも、木下氏の無免許事故は懲罰の対象となる議会活動とは異なるため、それも難しく、『体調不良』として診断書を提出するなどして欠席を続けた場合、簡単に処分することも出来ない」(同)
本人も、あるいはそういった公選法の仕組みを熟知しているのか、9月末にアップした自身のホームページでは、不眠やストレスなどのため通院しているとした上で、《失われた信頼を回復できるよう、償うべき償いを行い、これからの議員活動で答えを導き出しながら、ご奉仕させて頂きたいとの思いは、今も持ち続けております》と議員活動に意欲を見せている。また、議会欠席期間中の議員歳費については《受け取るべきではないとの考えです。(中略)しかしながら、公職選挙法により「議員歳費の返納」ができないため、公の活動への「寄付」に充てるなど、しかるべき対応をとって参りたい》との考えを示した。
ボーナス支給まで、雲隠れを決め続けるつもりだろうか。
(灯倫太郎)