「ボーナス5割削減でもすごい」大丸松坂屋が称賛された令和の“百貨店事情”

 新型コロナウイルスの感染拡大によって業績が悪化している大手百貨店の大丸松坂屋が、来月支給する冬のボーナスについて前年比5割削減することで労働組合と合意したことがわかったが、これにネット上では意外な反応が起きている。

「大丸松坂屋を運営するJ・フロントリテイリングは20年3月から8月の中間決算で最終損益が約163億円の赤字となるなど厳しい状況となっており、社員の大半となるおよそ3700人のボーナスが昨年の半分になるということです。10年に大丸と松坂屋が経営統合をして以来、冬のボーナスとしては最大の下げ幅になるとのこと」(経済誌ライター)

 今年は新型コロナの影響で多くの企業が冬のボーナスを削減しているが、5割減となった大丸松坂屋に対してネット上では、《5割カットでもボーナス出すってのは経営陣頑張ったな》《外出自粛の頃の客足見てたら、出るのがすごいと思う》《ボーナスゼロのところも多いからね。大丸松坂屋はあの惨状でボーナス出すなんて奇跡に近いかも》《ボーナスあてにしてローン組んでる社員もいるだろうから、出るだけ助かるだろうな》など、むしろ称賛する声が多く見られた。

「百貨店はもはや斜陽産業と言われ、ピークだった1991年頃と比べると売上高は半分近くまで落ち込んでいます。昨年には百貨店の閉店数がリーマン・ショック後の2010年以来となる2桁に達し、今年も8月末までに全国で12店舗が閉店しているのです。令和に入ってこれほどまでに百貨店が衰退したのは、ネット通販の普及と主要顧客だった団塊の世代が年金生活者となり、百貨店離れが進んだことなどが挙げられます。それでも、中国人観光客による“爆買い”などによってなんとか支えられていましたが、コロナの影響でこれもなくなりましたから、今後はさらなる閉店ラッシュが相次ぐと予想されます」(経済ジャーナリスト)

 そんな状況下で去年の半分とはいえ、冬のボーナスを出す大丸松坂屋はかなり社員に優しい企業と言えるかもしれない。

(小林洋三)

※写真はイメージです

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