10月1日ラストランの2階建て新幹線、実は”寿命“が1年延長されていた!

 国内唯一の2階建て新幹線の「E4系」。上越新幹線で「Maxとき」「Maxたにがわ」の名前で運行され、鉄道ファンはもとより、一般の利用者からも親しまれてきたが、10月1日で定期運行を終了した。

 ただし、この車両はもともと20年にラストランを迎えるはずだったという。なぜ1年も延長することになってしまったのか?

「19年10月、台風19号が上陸し、長野県の千曲川が決壊。JR東日本の新幹線の車両センターが浸水し、現在の上越新幹線の主力車両として使用されているE7系を含む10編成120両が水没して廃車となってしまったからです」(鉄道ジャーナリスト)

 それに伴う車両不足を補うためだったが、歴代新幹線の中でも特に人気の高い車両。1年延命になったことでコロナ禍の中、最後の乗車を楽しんだ鉄道ファンも少なくなかった。

 もともとこのE4系は97年に東北新幹線に投入され、上越新幹線には01年に登場。16両編成時の定員数1634人は国内の新幹線はもとより、世界の高速鉄道でも最多の輸送人員を持つ日本が誇る車両だった。

 新幹線の東京~大宮間は上越新幹線をはじめ、東北・北海道新幹線と北陸新幹線が乗り入れる最も混雑する区間。そのため、便の大幅な増発は難しく、一度に多くの乗客を運ぶことができるE4系は重宝されていた。

 そのE4系は一部の車両は展示用などで保存される可能性もあるが、今後順次廃車となる見込み。ただし、「もったいない!」と保存を望む声が多いという。

「保存するにも維持費がかかるため、廃車もやむを得ないですが、車内を改装してレストランやホテルとして使用する方法もあります。実際、寝台列車を活用した宿泊施設が各地にあるため、そういった形での第二の人生に期待したいですけどね」(同)

 これで見納めになるのはさみしい限り。まだ活躍できる場はありそうな気がするが……。

(高島昌俊)

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