9月24日、中国の動画サイトで日本の特撮ドラマ「ウルトラマンティガ」が一斉に配信停止になっていることが明らかとなった。暴力的なシーンが問題視されたことによる自主規制とも言われているが、日本のネット上では「中国の抗日ドラマの方がよっぽど暴力的」など、配信停止に疑問の声が上がっている。
「中国では、1993年の放映開始以来ウルトラマンシリーズが絶大な人気を誇り、特に30代~40代に多くの熱狂的なファンがいる作品です。今回の『ティガ』の配信停止には中国のファンからも《過剰な規制だ!》と批判の声も上がっているのです」(中国事情に詳しいライター)
現在、配信停止になっているのはウルトラマンシリーズの中でも「ティガ」だけなのだが、実は同作品は9月4日に江蘇省消費者権益保護委員会が発表した「暴力的・犯罪的要素が多い」作品の第4位に選ばれており、24日には監督官庁の国家放送総局が暴力的な内容を含む作品の配信停止を求める発言をしたことから、今回の配信停止に繋がったと考えられている。これに日本のネット上では、《「ティガ」が暴力的っていうなら、抗日ドラマなんて全部放送禁止にしなきゃダメだろ》《子供の教育に良くないって、抗日ドラマは暴力的なだけでなく、嘘っぱちの歴史を垂れ流していますけど?》など抗日ドラマを問題にすべきといった声が多く寄せられていた。
「抗日ドラマは、日中戦争をテーマにしたテレビドラマで、基本的には悪の日本兵を正義の中国兵が叩きのめすという内容。2012年には200以上の作品が制作されるなど中国の超人気コンテンツなのですが、怪力男が日本兵を手で真っ二つに引き裂いたり、日本軍に忍者部隊がいたりと、とにかくハチャメチャで、中国のネット上でも”神劇(お笑いドラマ)”などと揶揄されるほど。ちなみに、抗日ドラマは昨年7月に『常識に背き、歴史を面白おかしく解釈し、過度に娯楽化』しているとして中国政府から放送を禁止するよう通達があったとされています。一方の『ウルトラマンティガ』は、確かに怪獣を退治するためのバトルシーンはあるものの、もちろん道徳的に外れた部分は皆無で、他のシリーズと比べて特にバトルシーンが激しいというわけでもない。なぜ同作品が狙い撃ちされたのかは不明です」(前出・ライター)
今後、日本作品を排除していくための第一歩なのか?
(小林洋三)