日本時間9月7日のタイガース戦で「4番・一塁」でスタメン出場した筒香嘉智選手が2安打2打点と活躍し、チームの連敗をストップさせた。“パイレーツの主砲”としてアピールできたのは、7回裏の攻撃。チームが逆転に成功する直後に打席がまわってきて、走者2人を返すライト前ヒットを放った。
「チームが4対3と逆転した直後でした。2アウトでしたが、走者がまだ2人残っていました。ここで追加点が入るのとそうでないのとでは、大きく違ってきます」(現地ライター)
しかし、このヒットは日本の古巣・ベイスターズにも吉報として伝えられそうだ。元同僚・山﨑康晃投手に代わって“リベンジ”を果たしたからである。
「筒香に適時打を打たれたのは、カイル・ファンクハウザー投手です」(同前)
同投手は20代後半の大卒の日本・プロ野球選手にとっては、忘れられない“難敵”だ。
2014年7月14日、カイル・ファンクハウザーは大学野球の米国代表投手として、日本との決勝戦に先発登板している。
この試合に2番手として登板し、4回3分の2を投げたのが山﨑で、当時の大学代表メンバーにはオリックスの吉田正尚、楽天・茂木栄五郎、阪神・坂本誠志郎、ロッテ・中村奨吾など、のちにプロに進んだ選手が15人もいた。その精鋭たちを速球でねじ伏せたのがファンクハウザーだった。
「真っ直ぐが速いだけではなく、コントロールが適度に荒れていました。わざとではありませんが、何人かの選手がデッドボールも頂戴しています」
当時を知る関係者がそう証言する。
米球界挑戦後の筒香が長く苦しんだ理由は、速球に対応できなかったことに尽きる。ファンクハウザーを打ち砕いたということは、苦手がほぼ克服されたということだ。
「当時の代表メンバーには山﨑のほか、濱口遥大、柴田竜拓、田中俊太といったのちのDeNA選手もいました」(前出・関係者)
荒れ球も武器とするファンクハウザーは同年の米ドラフト会議でドジャースに指名されたが、辞退して大学に残った。2年後にタイガースに再び指名され、20年にメジャーデビューを果たしている。タイガースは投手陣が全体的に弱く、ファンクハウザーをブルペン・リーダーに育てようとしているが、長く対戦することになりそうな右腕を打ち砕いたのは、筒香にとって今後のメジャー生活においても大きなプラスとなりそうだ。
(スポーツライター・飯山満)