大谷翔平VS前田健太、舞台裏は「阪神の話題」で持ちきりだったワケ

「大谷対前田」の対決が実現した(7月22日/現地時間)。第一打席は空振り三振で、前田健太投手に軍配が上がったが、トータルでは5打数2安打1本塁打。大谷が前田に黒星をつけた。

 しかし試合開始前、ちょっとしたアクシデントに見舞われた。前田のいるツインズは「3番DH・クルーズ」と先発オーダーを発表したが、それが取り消されたのだ。この日、ネルソン・クルーズをレイズに放出する2対2のトレードが成立したためだ。

「クルーズは今年の球宴にも選ばれています。今年41歳になりましたが、ここまでの打率は2割9分4厘、50打点と好調を持続しています。昨季もキャリアハイとなる3割9分7厘の高打率をマークしました。チームの精神的支柱でもあります」(在米ライター)

 しかし、大谷対前田の対決があったせいか、日本球界に詳しいメディアも多く、彼らは別の見方もしていた。「今季、日本のタイガースにはどんな外国人選手がいるんだ?」と――。

 なぜ、阪神タイガースの球団名が出たかというと、これはクルーズ自身も打ち明けている話だが、彼がまだ覚醒していなかった2008年オフ、阪神渉外担当が獲得に動いたのである。

「クルーズはチャンスに飢えており、日本行きにも前向きでした。でも、阪神が最終的に選んだのは、ケビン・メンチでした」(同前)

 メンチが09年の新生・真弓阪神の戦力になれなかったのは、トラの黒歴史の1ページでもある。その後、クルーズは本塁打王1回、打点王1回、シルバースラッガー賞は4度も獲得した。40歳を過ぎてからも活躍しているのをみると、「あのとき、阪神が最終選択を間違えていなければ…」と思う日本の関係者も少なくないだろう。

「チームに愛着があり、ショック。でも、この年齢になって、勝つチームでプレーすることは大切」とクルーズは惜別の言葉を述べていたが、大谷対前田の対決が実現した日に移籍が決まるとは、日本に縁のある選手なのかもしれない。

(スポーツライター・飯山満)

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