梶芽衣子が英名門レーベルから世界デビュー!「女因さそり」ブーム再燃か

 かつて、ローリング・ストーンズや、ザ・フーなど、世界を代表する多くのアーティストを輩出したことで知られる、イギリスの名門レーベル「デッカ・レコード」。そんな名門レーベルから2日、女優の梶芽衣子(74)と、アルゼンチンの男女2人組デュオ「カンデ・イ・パウロ」とがコレボレーションした「修羅の花」が世界配信され、大きな話題になっている。

「現在、『カンデ・イ・パウロ&梶芽衣子』名義で配信されている『修羅の花』の原曲は、梶が73年に主演した映画『修羅雪姫』の主題歌で、映画の原作を手掛けた小池一夫さんが作詞、平尾昌晃さんが作曲を手がけた作品です。実は、この曲は梶の熱狂的ファンとして知られるクエンティン・タランティーノ監督が03年に公開された映画『キル・ビル』に劇中歌として使用したもので、カンデ・イ・パウロの2人は、この映画を観て梶の歌声に魅了され、大ファンになったといいます。そこで関係者を通じ、数回に及び梶にラブコールを送り、今回、世代と国境を越えたコラボが実現したというわけなんです」(エンタメ誌ライター)

 カンデ・イ・パウロは、アルゼンチン在住の国立大学教授でキーボード奏者を務めるパウロ・カリッソと、コントラバス奏者で歌手のカンデ・ブアッソのデュオ。ふたりは2017年初共演したが、その後YouTubeにアップした動画が1200万回再生超を記録。音楽関係者の間で大きな話題になり、レーベル争奪戦を経て、20年「デッカ・レコード」と契約、同年6月にアルバム「カンデ・イ・パウロ」でデビューしたという。

 梶といえば、自分が納得した作品にしか出演しないことで知られる。「日本語の芝居」にこだわるがゆえ、世界的映画監督・マーティン・スコセッシをはじめ海外からのオファーもことごとく断っているのだという。

「実際『キル・ビル』公開後、梶のもとには海外からの出演依頼が殺到しましたが、『日本語はすごくデリケート。言葉一つ取ってもいろんな表現があり、発音の仕方を変えるだけで全く違う意味を持ったりもする。この言語でやらないのなら、やらない方がいい』として、海外からの映画のオファーを断っています。タランティーノから『何で海外の映画に出ないんだ?』と尋ねられた時も、『私は日本人だから、日本で映画が受けて、日本でお客さんがいっぱい入ってほしい。日本でいっぱいやっているから(海外の仕事なんて)いらない』と答えています。そういう意味では『女囚さそり』で演じたナミ同様、一本筋が通っている。ですから、そんなこだわりを持つ梶がコラボという形にせよ、競作のオファーを快諾したことに驚きを隠せない関係者もいたようです」(前出・ライター)

 今回のコラボ曲「修羅の花」は、「カンデ・イ・パウロ」がラテン語、梶が日本語で歌っているが、レコーディング前に、自宅にあるはずの音源を探したが見つからなかったため、慌てて浅草のレコード店で音源を購入。自主練習して臨んだという。

「東映の『銀蝶シリーズ』の後、『女囚さそりシリーズ』で人気を決定づけた梶ですが、実は『女囚』撮影当時、大手レコード会社のディレクターとの縁談が進んでいて、同作を最後に芸能界を引退する決意を固めていたといわれます。ところが、映画が予想以上に大ヒットしたため続編の企画が持ち上がった。彼女は結婚を理由に出演を断ったものの、『あと一作』『あと一作』と説得され、結局、縁談は破談になってしまったとか。噂によれば、別れ際、相手の男性から『死ぬまで仕事は辞めるな』と告げられたという話もあり、それが仕事に一切妥協を許さない、という彼女の姿勢を作る源になったのでは、とも言われています。いずれにせよ、タランティーノをはじめ、欧米には梶の熱狂的ファンは多い。この曲の配信で、『修羅雪姫』『女因さそり』ブーム再燃という可能性があるかもしれませんね」

 いつの時代も、やはり「本物」は、世代や国境を越えるということか。

(灯倫太郎)

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