「ついに我が家から、お宝が発見されましたよ!」
編集部員Iの鼻息はいつになく荒かった。グウタラを地でいく生活ゆえに住まいは汚部屋。しかも、「いつ必要になるかわからない」と物を捨てることを極端に嫌う。だが、汚部屋の賃貸契約更新を迎えて引っ越すとあっては、そうも言ってられない。そこで、売れると思われるゴミを編集部に持って来たのだ。
「取材先からもらった警視庁の焼酎。これは高く売れるはずです」
と、Iが取り出したのは陶製の酒瓶。中身は市販の焼酎なのだが、瓶に特徴がある。「桜田門 警視庁」とデカデカと焼かれている。
「警視庁の売店でしか買えないんです。関係者か警察にお世話になった人しか持っていない逸品です!」
と胸を張るが、相場を調べると、メルカリでは48人が出品。平均2000円で売れている。ヤフオクではより安い。しかも、取引される警察グッズは、よりマニアックだった。
例えば、警視庁から受注を受けた会社のデッドストックである本物の手錠、戦前の警察が所持していたサーベル…。手錠は30万円を超える価格で落札され、サーベルも10万円前後となっていた。
販売されている焼酎なんてマニアからすれば、ピーポくんグッズと並ぶ、初歩的アイテムのようだ。